炎上する君/西 加奈子

¥1,365
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続・本の感想。


短編集。


西加奈子の本を読むのは2冊目なのだけど、

なかなか壊れていて、笑えました。


たとえば、ある作品では、

実在の作家・山崎ナオコーラさんが

繰り返し登場します。


ナオコーラさんは

途中までおしゃれな女性作家だったはずが、

いつしかおじさんになり、

主人公に指を食べられ、

そして片思いされてしまう。

なんだこれは。


描きたいテーマに対しての

このパワーと想像力。

あまりに奔放過ぎて、「作者自由!」

笑ってしまうのと同時に、

読後感の中にある疑いようのない寂しさに

「作者不自由!」と

眉をひそめさせる感じ。


ちなみにわたしは図書館で借りましたが、

帯はピースの又吉さんらしいです。


それを知り、又吉さんのブログを覗き、

なにか得な気分になる。

素敵でした。


そういえば、ラジオでオードリーの若林氏も

この本を勧めてました。

泣いたそうです。


ウーマンズ・アイランド (マガジンハウス文庫)/林 真理子

¥578
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よくも悪くも林真理子さんでした。

美しい俳優の男性と、

彼の周りにいる都会に住む女性たちの話。


さまざまな女性の視点で一話一話進んでいき、

最後は彼女たちを誘惑する

美しい男優の視点で終わります。


面白いし、さらりと読めるんだけど、

既読感があるというか。


昔読んだ、上野千鶴子さんと小倉千加子さんの

『ザ・フェミニズム』という対談本の中で、

林真理子さんの中にある

ミソジニー(女性性嫌悪)について

あれこれ話している個所があって、

読んでいて思い出してしまいました。


愛される女になろうと

意識的・無意識的に努力する女への愛憎が

相変わらずの林節のなかに

ひしひしと感じられます。


24・7 (幻冬舎文庫)/山田 詠美

¥440
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これでもかと恋愛テンコモリ短編集。

文章のうまさにやっぱりうっとりする。しびれる。


恋愛に没頭している人同士の、

胸やけするようなやりとりなんて

普通の作家さんが書いたら

ぜったいに「なんだこれ」なのに、

山田詠美が書くとこんなにも面白い。

天才。


ただ、この本には、

海外が舞台のものが何作かあるんですが、

ややおしゃれさについていけないところも。

わたしの海外経験の浅さが、

どうしても、「おしゃれ感」のなかで

作品を処理してしまう。


それは、江國作品とかでもそうなんだけど。


読み手の問題かな。