いつものように 仕事場に向かう途中駅で倒れてしまった。サラリーマンの多い街でひっきりなしに目の前を人が通るのに、誰も私の方に駆け寄ってはこなかった。冷や汗が止まらなくて動悸がして、意識がだんだんと遠のいていくのがわかった。


 ああ、もう死ぬんだと思った。そんな時、女性の方が「駅員さん呼びましょうか?」と声をかけてくれた。意識が朦朧とする中、なんとか頷いて車椅子に乗せられた。気がつくと救急車に乗せられていて、血圧を測られていた。近くの総合病院に運ばれるみたいだった。後からわかったが血圧は下が60、上が80だった。だいぶ、死にかけだったようだ。


 病院について点滴を2袋ほどいれてもらって、エコーと尿検査、血液検査をした。点滴をしてだいぶ楽になった。ここ数週間、不正出血が続いていると言うと妊娠か性病、もしくは婦人科の病気の可能性があると言われた。頭が真っ白になった。別れた男の子どもがお腹にいたらどうしたらいいのだろう、と。もしくは性病や婦人科の病気が重いもので一生の付き合いになるようなものだったらどうしよう、とも。


 母親が病院にかけつけてくれて、事情を話した。会社にも電話をしてその日は休んだ。そして病院を出た後、大盛りのカレーを食べて家に帰った。


 私はまた倒れて突然死んでしまったらどうしよう、と思った。後悔を残して死ぬくらいなら、私はあの人に会おうと思った。あの人というのはHじゃなくて、【F】という人物だった。