おしゃべりですと、これらの言葉を普段はあまり気にせずに使っていますけれども、

厳密にはちょっと違います。

国語辞典だと、主役は、小説・物語・芝居・日常の仕事などで主要な役割をする者であり、

主役が主人公であり、さらに芝居や映画で主役を演ずる者が主演です。

ヒーローというのは、日本語では「英雄」と訳されますが、

神話や物語の主人公で、要件としては普通より優れた能力をもっている者という意味です。

またとくに優れた能力をもっていなくても、英雄的なことをやった者をヒーローと言ったりします。

ヒロインは、女性に限定した主人公のことですが、ヒーローの恋人役をヒロインと言ったりします。

このようなイメージで使い分けております。

「ショーシャンクの空に」でいうと、

原作の「刑務所のリタ・ヘイワース」では、アンディが「主人公」です。

映画になると、アンディが「主役」であり、それを演じたティム・ロビンスが「主演」俳優ということになります。

この映画の場合、脱獄が「英雄的な」行為だとすれば、アンディはヒーローとなります。

脱獄しないで、そのまま刑務所で亡くなりましたとしたら、「ヒーロー」はいないことになりますが、

それでは映画にはなりません。

原作のヒロインはリタ・ヘイワースですが、映画では単なるポスターでの登場ですから、ヒロインとまではならなかった。

これではアカデミー賞の主演女優賞をあげるわけにはいきませんでした。

言葉というのは、日常なにげなく使っておりますけれども、国によって言葉が違えば意味も違います。

たとえば、兄弟姉妹、というのは、日本語では長幼男女で区別をつけておりますが、

英語なんかだとbrotherとsisterの区別しかありませんから、英語を日本語に訳すときには苦労します。

sisterと言われたときに、姉か妹かがわからないと訳せません。

英語では、どうしても区別したいときには、歳上のelderとかをつけます。

日本でも最近は、長幼や男女の区別をつけるのが避けられるようになり、

みんな「きょうだい」とひらがなで書き表されるようになってきました。

親の姉・妹を言うときも、英語ではauntの一つしかありませんが、日本語では、

歳上の女性を「伯母さん」、歳下の女性を「叔母さん」と使い分けますし、

おもしろいことに縁故のない歳上の女性を「おばさん」と言います。

ところが中国語になりますと、あの国はそういった人間関係をひどく気にする国ですから、

父の姉なのか妹なのか、母の姉なのか妹なのか、すべて漢字が異なります。

中国語から日本語には訳せますけれど、日本語「おばさん」という言葉を人間関係がわからないで中国語に同時通訳する

のは大変みたいです。

中国人からすると日本人はいい加減だと見えるみたいですけど、

日本人がアメリカ人をいい加減だと思わないのは不思議です。