日本では「ハリウッド」とカタカナで表記しますが、中国にはカタカナはないですよね、とどちらかというとないのは当然、という感じの疑問を投げかけておりました。実は、中国には「カタカナ」があります。日本語のカタカナと同じではありませんが、いってみれば、「中華式カタカナ」があります。
かつて、私の友人だった中国人に、「日本語にはカタカナがあって、外来語をカタカナ表記するとわかりやすくて便利です。中国は漢字しかなくて不便じゃないですか」と訊いたことがありました。中国人は、必ず反論するところがあって、即座に、「外来語はすぐにわかります。ふつうの言葉と違いますから」と答えました。なるほど、と思って、それ以来、中国における外来語表示に関心をもってきたので、ちょっとお話します。
日本では、「ハリウッド」は誤訳で「聖林」、正訳で「柊林」と漢字表記されますが、通常はカタカナです。それじゃ、中国ではどうしているかというと、「好莱坞(好萊塢):発音はハオライウー」です。英語の発音を中国式にして、それに漢字を当てています。このような単語は従来ないものですから、わかるのだそうです。
確かに、日本語で「はりうっど」とひらがな表記したら、ほかの「てにおは」と区別がつけにくくて困るので、区別がつきやすいように、カタカナ表記するわけですね。
しかし、ここで注意しなければいけないことは、しゃべり言葉では、漢字もカタカナもひらがなもありません。耳で聴いた音でちゃんと区別して判別しております。中国語も同じで、書き物は漢字ですが、会話はともかく音声だけです。
日本語は一音ずつ区別して発音します。たとえば、「りんご」は、日本語は「リ・ン・ゴ」と三音で発音しますが、中国語では「ピングォ」、英語では「アプル」と一音で発音します。ですから、日本人がアメリカ人に「リ・ン・ゴ」と三音にわかりやすく区切って発音してあげても、この日本人はなにを言っているのかと、さっぱりわかってくれません。
中国人はハリウッドを、「ハオライウー」と一音で節をつけて発音して、ちゃんと理解していますし、文章に出てきても、外来語だとわかるのです。日本人が親切に漢字で「柊林」と書いてあげても、中国人は村はずれにあるヒイラギ林を思い浮かべるだけで、アメリカにあるハリウッドなのだとわかってくれません。
私のいちばん好きな中華式カタカナ語は「可口可楽(コカ・コーラ)」です。この文字を見ているだけで、飲みたくなると思いませんか。
なお、「中華式カタカナ」というのは、今回の話のために私が造った用語です。今度、中国人と会ったら教えてあげよう。
中国の皆さんも外来語には相当に苦労しているみたいですね。
中国では、日本式のカタカナがないために、外来語を音で表現するかイメージで表現するかしかないわけです。
試しにちょっと調べてみました。
中国での外来語の取り扱いについて、みなさんも一緒に考えてみて下さい。
莫札特→モーツァルト・・・・・・・日本では莫差特
貝多芬→ベートーベン・・・・・・・日本では貝多芬これは同じですね。
紐約→ニューヨーク・・・・・・・・・日本では紐育です。
巴黎→パリ・・・・・・・・・・・・・・・・日本では巴里です。
熱狗→ホットドッグ・・・・・・・・・・これは上手いです。熱い犬です。
快餐→ファーストフード・・・・・・日本語漢字表記なし
波音→ボーイング・・・・・・・・・・日本語漢字表記なし
夏普→シャープ(SHARP)・・・・日本語漢字表記なし
羅森→LAWSON・・・・・・・・・・・・日本語漢字表記なし
麦金多什→マッキントッシュ・・・日本語漢字表記なし
侏羅紀公園→ジュラシック・パーク・・・・・これは多分、考古学の表記がジュラ紀の事を侏羅紀と書くのでしょう。
失落的世界→ロスト・ワールド・・・・これはなんかそのまんまです。
超人→スーパー・マン・・・・・・・・・・・これもそのまんまです。
蝙蝠侠→バット・マン・・・・・・・・・・・・蝙蝠男では?
獅子王→ライオン・キング・・・・・・・そのまんまです。
玩具總動員→トイ・ストーリー・・・・・話の内容から作ったのでしょうか?
辛徳勒的名単→シンドラのリスト・・・・・これがなんでシンドラなの?