「ショーシャンクの空に」からはハズレますが、
「ハリウッド」について一言。
ハリウッドの和訳「聖林」は誤訳だと知らなかった方も多かったと思います。
私もずっと昔は、誤訳だとわかるまでは、いい名前だと思っていました。
しかし、誤訳ではあったけれども、名訳でもありました。
機械翻訳させれば「ヒイラギ林」となってしまい、
映画の聖地の名前としては、ちょっと魅力に欠けます。
アメリカのことを、日本では「米国」とし、中国では「美国」と訳しています。
これは誤訳ではありません。日本語では、音読みに「亜米利加」と漢字を当て、
そのなかの「米」一字でアメリカを意味しますし、中国語では、「メ」を「美(メイ)」としています。
誤訳ではありませんが、日本や中国では、漢字一字で定着しています。
ですから、誤訳であろうとなんであろうと、
ハリウッドの日本語訳は「聖林」なのです。
映画の聖地にまったくふさわしい訳でした。
ところで、「聖」という字は、英語のsaintの当て字でしょう。
これも名訳です。
「聖」という字を「ひじり」と訓読みすると、「泥」の意味です。
どういうことかというと、かつての「聖人」は、着ているものはボロボロで、乞食のようにみすぼらしい格好をしていたからです。
日本の歴史のなかには、「高野聖(こうやひじり)」という宗教者がたくさんおりました。
いわゆる公認の仏教者ではなく、庶民に仏教を勧めてまわる人たちです。
お札を配って歩き、これを信心すれば、地獄に落ちなくてすむぞと触れてまわり、お金や物をもらって歩きました。
いまでは泥が洗い流され、「聖」も清らかなイメージになっております。
「オリンピック」も日本では「五輪」と訳されております。
オリンピックのマークとして、「五輪マーク」が制定されてから、
「オリンピック」では新聞の見出しとして長すぎるので、
「五輪」とされたものです。