
11回裏2死満塁、サヨナラ打を放った本間(左から3人目)をもみくちゃにするホークスナイン
4時間20分の激闘の結末は、どこまでもドラマチックだった。延長11回2死満塁。代打本間の打球が中前に抜けると、王監督はプロ生活50年目で初めての快感に襲われた。「(記憶に)ないですよ。願っていたけど2試合も続くなんて…」。ホークス史上初の開幕戦から2戦連続のサヨナラ勝ち。ナインと歓喜のハイタッチを終えると、思わず深呼吸した。
開幕戦は12年目の柴原が劇弾を放ち、今度は王監督と“ホークス同期生”の14年目のベテランが大仕事を成し遂げた。カウント2-2からの6球目。松本の真ん中低め、124キロのチェンジアップを、本間がコンパクトにはじき返す。「最後は同じ球種が2球続きましたからね。いい場面で結果を出したかった」。自身3度目のサヨナラ打を冷静に振り返った。
昨季まで通算打率・249だが、代打で昨季は打率・344の勝負強さを誇った。「柴原も本間もプロの飯を10年以上食っているし、修羅場もくぐっている。『この1球にかける』思いを出せるし、これは若い人に求めてもできない」。王監督に迷いはなかった。
ベンチ前での「ささやき戦術」も的中した。昨年7月26日のロッテ戦では「ヒーローになってこい! 」と送り出し、9回の代打サヨナラ打をアシスト。この日は「ヒットでいいんだぞ」と冷静さを取り戻させ、2戦連続の熱狂を呼び込んだ。
天敵の田中に8回まで3点と抑えられながら、9回に打線が中継ぎ陣を攻略。開幕前に「今季は喜怒哀楽が出せる」と宣言した王監督の気迫はナインに伝わっていた。初回はハーフスイングの判定にベンチを飛び出し、勝利の瞬間まで何度も大声を張り上げた。
王ホークスで育った本間も証言する。「開幕2戦目ですが、これだけ気合が入っている姿は初めて」。自身もオープン戦終盤に1軍昇格。開幕スタメンに名を連ねたが、2打席連続三振で途中交代。「開幕戦で代えられた悔しさもありました」。この闘争心を王監督は待っていた。
開幕戦は球場で赤飯を食べて臨み、試合後は友人と夕食を囲んで勝利の余韻を楽しんだ。「少し気楽な開幕」と笑った2戦目は「神の子」マー君の神通力を消した。23日は大場がプロ初先発する。「これで少し気楽に投げられるかな」。2つ並べた白星が、ルーキーの何よりの“安定剤”ともなる。
