玉川温泉でのアトピー治療(激痛) | kkのブログ

玉川温泉でのアトピー治療(激痛)

玉川温泉につかるだけで、アトピーが治る!こういうと、嘘だと思う人もいるかも知れませんが、私の場合は本当でした。知人に勧められてというか、あまり乗り気ではなかったのですが、ともかく、来てしまいました。


知人の指示はこうでした。

「ともかくどんなに痛くても痒くても、ひたすらじっと我慢!。最低でも3分、できれば5分。最初なら10分で完璧なので、100%の源泉につかり続けろ!」


知人が言うには、肌の状態から見て、それこを死ぬほど痛むが、最初の苦痛を通り過ぎると、そのうち、痛みが徐々に麻痺してきて、肌の弱くなっている部分が、真っ黒なカサブタに変わる。その状態になるまで、ひたすら我慢しろというものでした。そして、真っ黒なカサブタが形成されるに従い、徐々に痛みが治まり、同時に痒みも激減するという物でした。散々、注意されたのが、一番マズイのが、入浴して僅かな時間だけで我慢できなくなり、浴槽を飛び出してしまうことで、この状態だと、肌に著しい刺激を受けた状態なので、その後猛烈な痒みが襲ってきて、それこそ全身を掻き毟り、2度と浴槽には入れなくなってしまうということでした。


数分間、激痛に耐えることが出来るか不安でしたが、あの四六時中襲ってくるやり場のない痒みが少しでも良くなるなら、我慢して挑戦してみようと決心しました。何度も、確認と注意を促されるので、余程のことなのだと覚悟は決めていたのですが、実際は想像を絶する激痛でした。


まず、始めに、100%源泉の位置を確認し、万が一、耐え切れなかった時にかぶるための白湯の位置を確認します。そして、もう一つ、露天の湯というのがあるので、重度な人はこのお湯も結構痛むそうですが、私の場合は、まだ大丈夫だったので、ここに飛び込めるように知人に待機して貰います。


いよいよ、挑戦が始まりました。


初めは、足から。まだシミません。それほど深くない湯船の中をゆっくり移動して、自分のポジションを確保します。そして大きく深呼吸して一挙に肩までつかります。別に潜る訳ではないので、深呼吸する必要はないのですが・・・。あれっ・・・!何ともない?あれほど、激痛、激痛と言われていた割りには何てことありません。拍子抜けとは正にこのことです。これなら、10分はおろか、30分でも大丈夫だ。そう思った矢先でした。初めは何が起こったかわかりませんでした。ともかく股間が焼けるように熱くなって来たのです。そして首筋、肘、太ももの裏側と・・・。全身の筋肉が一気に強張り、私は声にならないうめき声を挙げていました。あれ程、覚悟して何度も説明を受けて入った湯船ですが、思考判断を完全に失った私は思わず、湯船から飛び出そうとしました。そのとき、ふと、誰かが私の肩を押さえて立ち上がれないようにしていたのです。小さな声で、ここで出てしまえば全てが元の木阿弥だってことを言っていたと思います。そしてどんなに痛くてもそれで死んだ人間は居ない。小さな子供だってみんな耐えている。ハッと我に返りました。そうだ、私はこの痛みに耐えて、そしてアトピーを克服するためにここに来ているんだ。やるしかないんだ。


この間、どれほどの時間が経ったのかはわかりませんが、途方もない長い時間だったように感じました。本当は、恐らく5秒とか10秒だとかそんな時間だと思いますが・・・。激痛は相変わらずですが、肩を押さえている人がてっきり私は知人だと思っていたのですが、少し余裕が出てきて顔をあげてみると、見ず知らずの老人2人でした。混乱する頭の中を整理して、ようやく状況が飲み込めて来ました。恐らくその老人たちは、玉川温泉の熟練で、私の体の状況をみて、湯船につかってまもなく飛び出してしまうことを予見して、あらかじめ私の横に陣取り、押さえる準備をしていたらしいのです。


彼らの術中にまんまとはまった訳ですが、それが幸いでした。あの時、肩を押さえられなければ、私は間違いなく、自分の意思で浴槽を飛び出していました。そして、恐らく、二度と玉川温泉を訪れることはなかったと思います。ほんと、首の皮一枚つながったと言いますか、どうにか、初めの試練は乗り越えられたようです。次の試練はまたすぐにやってきました。痛いのは相変わらずですが、一部、どうしようもない痒みが襲ってきたのです。この激痛の湯船の中、掻くことはそれこそ自殺行為です。皮膚が丈夫な人ならまだしも、私の皮膚の状態では、恐らく耐えられないというのは明白でした。ひたすら我慢を続けました。何度も時計に目をやるのですが、腹が立つくらい時間はゆっくりしか流れません。そのうち、あまりの痛さと痒さで、こらえている自分の体が自然と震え出しました。隣の老人たちが、もう少しで急にラクになる瞬間が来る。それまで耐えろというようなことを言っています。頭の中はともかくパニック状態でしたが、不思議と老人たちが話し掛けてくれたことにより、何とか正気を保つことが出来ました。


そして、しばらく経ち、老人たちの言っていたことが本当に起こりました。それまで痛みで強張っていた筋肉が緩み、滝のような汗が流れ出し、あの地獄のような痛みと痒みが、嘘のように軽くなって行きました。無論、まだシミますし、痒みもありますが、普通に何とか我慢できるレベルです。時計を見ると4分位経過していました。隣の老人たちは、もう大丈夫と言ってそのまま、打たせ湯の方に行ってしまいました。そのまま、10分私は入り続けました。湯船から出るとき、私は自分の身体を見てビックリしました。肘の内側や手首など、湿疹が出ていた部分が、殆ど、真っ黒なカサブタになってしまっているのです。いままで、アトピーに良く効くという温泉はいくつか行っていましたが、これほど、劇的な変化のある温泉は初めてでした。湯船から出た私を見て、先ほどの老人たちが、よく我慢したと褒めてくれましたが、この歳になって褒められてもと変な気分になってしまいました。老人たちは、そのまま白湯で流さずに出るのがベストだけど、あとで炎症を起こしてもいけないから、露天の湯に入った方が良いと言われ、知人もそうした方が良いとのことでしたので、ゆっくりと今度は落ち着いて露天の湯につかりました。その後、サウナ、頭浸浴と入り、最後はまた露天の湯に入り上がりました。その間もどんどんカサブタが成長する感じで、体の至る所がカサブタで覆われてしまいました。


様々な出来事が、それこを怒涛のように襲ってきて、私は興奮冷めやらぬという状況でしたが、段々と冷静になってきて、あの二人の老人に、お礼を言っていないことに気が付きました。慌てて浴室や更衣室を探しましたが後の祭り、結局見付からず、お礼を言えず終いでした。


そのうち、何回か玉川温泉に行って分かったのですが、ここには自称玉川温泉博士が何人もおり、様々な病気を克服した自分の経験や、人から聞いた話を元に色々アドバイスしてくれるお節介というか、有り難い方々が沢山いるようなのです。本人の話なので、事実かどうかは分かりませんが、慢性の高血圧が2週間の湯治で治ったとか、何回も来ている内に、結石が溶けて流れ出たとか、果ては医者から助からないと言われた程のガンが2ヶ月の湯治で影も形も無くなったとか・・・。無論、医学は重視しなければなりませんが、玉川温泉に来て、自分もその凄さを経験してみて分かったのですが、ガンが無くなるなんて他の温泉では考えられませんが、もしかしたら玉川温泉なら本当に、そういう奇跡が起こるかもしれないと、半信半疑ながら思えるようになりました。入浴している人たちが皆親切なのも、本当に皆が玉川温泉を愛していて、その効能を信じているからなのだと理解できました。また、自分が玉川温泉の先人たちから受けた恩恵を後輩たちに引き継いで行きたい。そんな思いもあるのかも知れません。たかが温泉かも知れませんが、実際に玉川温泉に触れ、そこに集う人々と触れ合うと、玉川温泉自体の効能だけでなく、信じる力と信じるが故に起こる奇跡が、玉川温泉の本当の姿なのではないのかと自然に思えるようになるのです。


閑話休題。全身の至る所にカサブタが出来た私は、そのまま動くとまだカサブタが安定せず剥がれて来たりするので、車で一休みする事にしたのですが、初めはさして眠くなかったので、恐ろしい睡魔が突如として襲ってきました。本当に恐ろしい睡魔で、睡眠薬でも飲んだのかっていう位の勢いで眠りに落ちてしまいました。この時の眠りの深さは、恐らく人生で1、2を争う爆睡だったと思います(決して大げさでないです・・・)。2時間程して目が覚めたのですが、これほど気持ちの良い睡眠はそうそうあるものではありません。知人に言わせると、これも玉川温泉特有の効果で、その睡眠の間に体の機能が回復していくとのことでした。この後、実は有名な岩盤浴も予定していたのですが、私が2時間も爆睡していた為、時間が無くなってしまったのと、あと、知人がせっかく皮膚がいい状態なので、できれば汗などはかかない方が良いとのアドバイスで、お土産やで売っている、湯花と玉川温泉の湯花を練りこんだ軟膏を買って帰ることになりました。


この全身に出来たカサブタのおかげで、痒くてたまらなかった状態が嘘のように軽減し、知人が言うにはこのカサブタが自然に剥げれば、その部分は強い皮膚となって再生するとのことでした。その間、痒みが出た場合は、先ほどお土産屋で買った湯花入り軟膏を塗ればいいとアドバイスをもらいました。


自宅に帰り、早速、少し痒い部分があるので、湯花入り軟膏を塗ったのですが、確かに痒みが良く治まります。しかし、問題発生。臭いんです。硫黄独特の臭いが思い切りする。周りの人から白い目で見られようと、私はこの軟膏を使い続けました。


こうして、自宅で2週間位経過して、ほぼカサブタは綺麗になくなりました。全身に広がっていた湿疹は耳の後ろと両脇の一部、股間の一部を残しほぼ退散していました。あれ程酷かった痒みが、殆ど消失しました。たった一度の入浴で、確かに激烈でしたが、毎日あの苦痛を思えば、一度の痛みに耐えた代償は大きなお釣りとなって返ってきました。全身の苦痛な痒みの8~9割が消失したような感じで、それまでに比べれば天国でした。


あまりの嬉しさに、その後何度も玉川温泉には通いました。その度に色々な部分がカサブタになり、綺麗になって行くのですが、一度コツをつかんでしまうと、痛みに耐えることもそれほど苦ではなくなるようになります。もっともかなり湿疹が小さくなっているのでシミる部分が少ないということもあるのですが・・・。ある時には、完全に全身から湿疹部分が無くなるまでになりましたが、翌年の夏にまた一部が湿疹になるなどし、また玉川温泉に入ってカサブタにするということを繰り返しました。この過程で分かったのは、皮膚は見た目では分からなくても弱ってしまっている時があり、そう言う部分がちょっとした刺激を受けると湿疹になりやすい、また湿疹は体の外からだけでなく、中からも起こってくるということでした。


1回目の入浴で8~9割位の改善を一気に体験し、それまで一進一退だった状況が、一挙に全治の可能性が見える段階までこれたことが、アトピー性皮膚炎を治して行く過程で改めて重要な要素だったと私は考えます。荒療法ですが、強酸性のお湯で一挙に悪くなっている皮膚組織を改善させて、活力を取り戻すことで、残りの1~2割の本当に悪い部分の状態を良く観察できるようになり、また、掻き毟る衝動も押さえられるようになり、食事の改善や入浴方法、発汗の処理や皮膚消毒の有効活用など、様々な有効な手段が打てたことも改善には大きな効果があったと思います。そして何より、また酷くなったら玉川温泉に行けば良いんだという安心感が、色々な治療法を試す勇気の元にもなりました。


さて、ここまで書いていて、仮にこの文章をアトピー性皮膚炎の方が読んだら、ステロイド剤はどうしていた?と必ずお聞きになりたいと思います。あえて、私はその話は避けてきたのですが、とても重要なことなので、一応、私のやり方という事実のみを書かさせて頂きます。私は、医者に頼らないと決めたその日からステロイド剤は一切使いませんでした。ご判断は各自、自己責任で行なって下さい。


なお、このテーマの一番初めにも書いていますが、あくまでこれは、私の経験談であって、他の方にこの方法が有効であるかいうと必ずしもそうでない場合もあります。私は、アトピー性皮膚炎になって、ステロイド剤を使用し始めてそれほど年月が経過していなかったので、このような方法が使えたと自分では考えておりますが、仮に長期のステロイド剤を使用してきた重度のアトピー性皮膚炎の方が同じ方法をとることは、極めて危険だと思われます。また、湿疹が極度に悪化しているような場合なども、酷い炎症につながり、それこそ感染症を引き起こしたりとすることもありますので、お勧めしません。例えば、玉川温泉からさほど遠くないところに、志張温泉というところがあり、私は行ったことはありませんが、玉川温泉の自称博士たちが、皮膚病の酷い人は、まず、志張温泉でとりあえず、玉川温泉の湯に耐えられるまで時間をかけて湯治した上で、玉川温泉の源泉に挑戦すれば良いというようなことをアドバイスされたこともありますので参考にして下さい。


次回は、玉川温泉のもう一つの名物、「岩盤浴」について書く予定です。もちろん、アトピー性皮膚炎の改善にも触れて行きます。