横尾忠則現代美術館へ冥土旅行してきた。
空間の圧に打ちのめされる。
色彩や量の問題だけではなかった。
あの世だった。
冥土旅行、今回で2回目。インスタグラマー向けの企画に当選して招待していただいた。インスタでなくても良いのでSNSで拡散するというのが条件。
応募案内を見たときに、宣伝?するよ!!と、締め切りの日に急いで応募。
ご近所という好都合ながら当選したので、うきうきして会場へ。
学芸員さんの解説と、展覧会閲覧、図録お土産付で、無料招待って……どんだけ太っ腹なんと手を合わせながら参加する。
感想を真面目に書きます。(とてもながくなりました。)
気になった方は横尾忠則現代美術館へ行ってください!!
幼い頃から死と接する機会が多かった方だと思う。
幼稚園まもない頃ひいおじいちゃんが死に、その後震災で知人一家の全員や、校長先生の死に直面。
震災は自分の死をも完全に目の前に感じる出来事で、わたしの人格形成の核は震災にあるとすら思う。
それゆえ死や別れを認識したのも早かった。あんなに大好きだった人が焼かれて骨になる、それはとてもとても恐怖だった。
そこから、死ぬことが猛烈に怖い。
だって、焼かれるなんて。炎の中でただ黙って、目を瞑っていないといけないなんて…。どうしても、無にはなれない。
「死にたい」とおもうことこそ確かにあった。誰もが通るタイプのやつで、人並みに。
ただそれはやっぱりその目の前にある辛いことからの逃避行為であり、死を思うのではなく生を思うことからきていたものだった。
生と死は表裏一体。
でも、その時の死にたいとはそういう感じではなく、生きたいが故の死にたいであったので、表裏一体とは若干ちがう。
自分の中ではね。
横尾さんといえば、やっぱりポップアート的なポスターなんかのイメージが濃いく、根強い人気があるんやろうな。
わたしはポスターも勿論好きやし、Y字路も大好き。でも、でも、やっぱり、あの世の絵がたまらない。
そして冥土旅行では、会場でしかわからない空気、圧、というものがどれだけの力を持つかというのを再確認できた。
今はSNSがとにかく盛んなので、写真で伝えるということはほとんど主流になってる。
写真で見れるというのが前提にあるから足を運べなくても見れたような気になってしまうし、諦めがつく。
でもそれは本当に、そんな気になっているだけだと改めて思い知る。
その場にいて、両目の端からぼやけて視界に入ってくるもの、無音の音、気配、その全てが現地に行かなければわからないし、結局それが全てだとおもう。
空間で展示をするということの意味!
わたしはSNSを見るのも好きだし便利だし活用しているけど、全く別の次元で生まれているその圧倒的な、何か。
それは伝えたいことなのかもしれないし、向き合ってきたものの分量に値するのかもしれない。
わたしは横尾さんが、どれだけ死と向き合ってきたのか。その分量が恐ろしかった。
だって、死やで??
誰も見たことないのに、ぜっったい、避けられない、ぜっったい、自分にも起こることやねんで??考えられる?
無になるって、何??
ほんまにだーーーれも、知らない。
わたしはそれが無理、こわい。
横尾さん自身も死を強く恐れ、だからあえて死の側から生を見つめ、死後の世界を自ら考え出すことで死を疑似体験したり死亡広告を新聞に出したりしながら死の恐怖を乗り越えていると、学芸員さんの話にあった。
今はもう、わからないものはわからないでいいじゃないかと感じておられるようだけれど、散々死と向き合い尽くしてそうなったとなると、その言葉の質が違う。
帰り道、ずっとずっと、わたしは何でこんなに横尾さんの絵が好きなんだろうと真剣に考えた。
心のどこかで死というものが纏わり付いて離れてくれない。いつか必ず訪れるものなのに未知すぎる向こう側。
幼い頃から、とにかく、その向こう側が怖くて仕方がなかった。
未知すぎるのに、身近にあったその向こう側。
横尾さんの、あの世の絵。
惹かれるものには心のどこかに作用する何かがある。必ず。
性=生を描いた本能的なもの、死を描いた未知的なもの。
ポートレートシリーズ、見たいものが隠れていて見えないというのは欲望の否定なのかな、と、横尾さんはおっしゃっていたそうです。
わたしときたら、あれも欲しいこれも欲しい、したいことも行きたい場所も何もかも多い。
わかりやすく欲の塊。
無になることなんて考えられない。
だから死が、こわいのかも。
貪欲で、執着しまくり。は〜まだまだ修行ですね、これは!!
閉館まで滞在して、ぼんやり、ぼーーっとあの世の絵と対峙する。
そんな冥土旅行でした。
横尾忠則 冥土旅行
横尾忠則現代美術館にて、5/6まで。
引きでの写真撮影が可能。
阪急神戸線 王子公園駅から西へ徒歩5分ちょっと。
JR灘駅からも阪神岩屋駅からも徒歩圏内。
話題のパンダも、目の前にある王子動物園で見れるからぜひきてください。神戸へ。
また行きたいなー。冥土旅行。
素晴らしい展覧会をありがとうございました!