物心つく前


家はきっと幸せだった


記憶はうっすらとしかないが


覚えている


でも


物心つく前の記憶で


母親からのDVの記憶も残っている


俺は父親が大好きだった


俺が物心ついた頃には


父親はあまり家に寄り付かなくなっていた


自分の気分のままに俺を叱りつけたりする母親と一緒の家


母親はなんでも自分の思い通りにならないと気が済まない


俺のプライバシーなんてない


しかも専業主婦で家にずっといる


子供の頃から家は嫌な場所でしかなかった


嫌いなタイプの女性は?と聞かれたら


母親みたいな人だ


そんな母親に心なんて開ける訳もなく


俺は精神的に誰も頼る事なく大人まで生きていた


そのせいか


俺は人に心を開くのが苦手で


自分の事を話すのが苦手


そして女性に求める物は


母性が大きいと思う


イメージで言うと


柔らかくて優しくて温かい


自分の母親からはもらえなかった物だ


大人になってから人の愛情を知って


それからはそれが欲しくてたまらないんだ


父親については


俺がまだ小さい頃はあまり寄り付かない程度だったが


俺が大きくなるにつれ


家に帰らなくなった


大好きだったけど


会わない時間が関係にもずれを呼び込み


今も関係にずれを感じる


俺が大人になって未遂を犯した時


話をした


その時聞いたが


俺が小さい頃


俺の母親が嫌で


俺を連れて家を出ようかと思ったらしい


俺としては


なんでその時俺を連れ出してくれなかったの?と言った


そうしたらこんなに苦しい人生歩まなかったのにと思った


だが今となっては


父親との長い空白の時間は埋められる訳もなく


父親と上手くやることも出来ない


多分父親の方が子供と接していなかったからか


俺がずれを感じるのだろう


だが俺は父親とは似ている部分が多い


もし俺が親になったとしたらいい父親になれるか不安もある


嫁になる人が俺の母親とは違うタイプなら幸せな家庭を築けると思うが


確かに物心つく前のとても小さい頃に幸せはあったのだから


物心ついてからは感情を殺して生きてきたが


だから俺は家族というものを感じた事がない


大人になるまで誰にも心を開けなかったコンプレックスもある


未だに心の開き方が分からない部分もあるんだ


でも心を開きたいとは思う


一般的に言われる家族のような絶対的な存在が欲しいと思う


心を開ける友達が欲しいと思う