そこのみにて光輝く | はんなブログ natural

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向井理くんのこと。日々のこと。

お久しぶりです。

やっと更新しましたね苦笑


彼への想いに大きな感情のうねりはなく、とても落ち着いているこの頃です。

海のように、強い波が押し寄せたり、引いたりしない、湖みたいな。

あ、この湖、水かさは減りませんうふ



今日は最近観た映画の感想を書きたくてびっくり


ずっと観たかった映画、『そこのみにて光輝く』

映画館に行けなかったのでレンタルを待ってましたが、綾野くんファンの友達がDVDを送ってくれるというのでいい子に待ってましたsei


もうね、予想はしてたけどほんとね、凄ーい映画でしたよ。

暗くて重くて深い。


ということで

あらすじネタばれ感想、がっつり書いちゃいます。

知りたくない方読まないでねsei




ではいきます。


綾野くん演じる達夫は、仕事を辞めて酒びたり、無気力な暮らしをしている青年です。

彼は仕事現場での後輩の事故死のショックで、仕事に戻れなくなりました。

幻聴、フラッシュバックに襲われる日々。

その事故は達夫のせいではなかったのに。

優しく真面目な彼はその死に責任を感じ、まるで自ら罰をうけて暮らしているかのようにも見えます。



醸し出す、“翳り”

私は原作までは読んでないけど、

生きてきた背景や経験した悲しみが匂いたつような佇まい。


綾野くんて本当に“人”を生々しく演じる俳優さんですね。


物語は、達夫が入り浸っているパチンコ店で、ひとりの青年、拓児(菅田将暉くん)と出あうことで動きだします。





拓児は仮出所中の身。

荒っぽいけど人なつっこく、根が純粋。

ヤニで黄ばんだ歯でにかっと笑う。

すごくいい子なんですよね。


しかし菅田くん、なんていい味だす俳優さんなのでしょう。

彼のことも相変わらず尊敬しちゃうな。


この後、達夫は拓児の家に誘われ、そこで運命の出逢いをします。

姉、千夏です。(池脇千鶴さん)





姉の作ったチャーハンをうめぇうめぇとがっつく拓児は愛らしいほど無邪気ですが

この家族の暮らしは本当に過酷なものでした。


一家はそこだけ取り残されたような古いバラック小屋に住んでいます。

父は脳梗塞で寝たきり、母は介護で疲れはてている。

家計は、千夏が昼は工場、夜は身体を売って支えていました。





池脇千鶴さん。

この状況で生きてる女性のリアリティを生々しいほど全身から漂わせてます。

肉感的でほどよくゆるんだ二の腕とか、背中とか、そんなとこまで。


そして千夏は造園会社社長、中島(拓児の身元引受人になっている)の愛人でもあります。

演じる高橋和也さん、すごいお芝居されるんですね。

本当に憎たらしい嫌な男なんです。

彼は彼でストレスを抱えて生きてる人間臭い男なんですけどね。







どん底をさまよう人間たち。

抜けだせない閉塞感。どうしようもない負の連鎖です。


だけど“そこのみにて光輝く”というタイトルのとおり、

ところどころで光を感じられる。

真っ暗闇ではないんです。


それが家族愛。男女の愛。友情。


見ようとしなければ見えないかもしれない光です。

むしろ暗いから、光がはっきりと分かる、ということもあるのかな。


性欲をコントロールできなくなっている寝たきりの父は度々母を呼ぶのですが

欲求を抑える薬を使わないのは脳を少しでもダメにしたくないという母の父への愛情だったり。


拓児は達夫がしていた仕事に興味をもち、その仕事をしたがりますが、

自分の人生の為でもあるけど、家族を喜ばせたい想いが強い。


人生を諦めているような登場人物が多い中で、拓児だけは屈託なく明るい瞳をして笑っています。

うつむいて生きてない。

そんな彼の存在は、這い上がる気力を失った千夏や達夫にとっての光でもあるのだろうと思います。





だけど。

拓児の幼いほど純粋さ、愛情が、また悲劇を生むことに。。。






すぐそこまで来てた未来だったのに。。。


この二人のシーン、泣きました。


泣きじゃくる拓児。

抱きしめる達夫。

切なくて。




そして忘れてはいけないこの物語の大きな光、

それが男女の愛。


達夫と千夏が惹かれあっていくさまは言葉はなくとも妙に納得させられました。

奥深くの絶望感なのか、共鳴しあう何かがある。





達夫は中島に、千夏との関係を切るように言います。





この時のシーンも凄かった。

達夫に抑えつけられた中島は何度も達夫の顔を下から殴りますが

達夫は手を出さないんです。

殴らずに、ものすごく真剣な眼差しで、血を流しながら中島を見つめる。


千夏を守りたい。

達夫の、まっすぐでブレない想い。

ここも彼の人間性が伝わってくるシーンでした。



千夏が達夫を見つめる眼差しも、中島へのそれとはまるで違う熱を帯びて。

達夫は千夏の心を和らげる、癒しの光


お互いの存在が暗闇に射しこむ、光。






海でのこのシーン、素敵でした。


そして2人が身体を重ねるシーンですが、綾野くんも池脇さんもかなり思い切って演じてます。

そしてこれが本当に...感動的なほど美しかった。

見ていると、人と人が愛し合う温かさでこちらまで満たされていくような。

愛し合うってこういうことなんだって、思わず涙がでちゃいそうな。

そんなラブシーン見たの、初めての気がする。


もちろん現実は綺麗事ではなく、

愛する人がいても日常は厳しいままだしボロボロだし辛いんですけど。







それでもね

振り向けば心から愛する人がそこにいて


朝陽はあたって






あぁ

これからも生きていくんだよね

いけるよね


このシーンはセリフがないけど、

二人の表情だけでどれだけの言葉を語ってるんだろうって思いました。


包み込むような光は本当に優しく美しいです。

でもこれは絶対的な希望ではないし、スカッとするラストでもないのです。
でも、余韻はほんのりと温かいのです。



あぁいい作品でした。

興味ある方、是非観てみてくださいねにこ