さて、ナオミには、
夫エリメレクの一族に属する
一人の有力な親戚がいた。
その人の名はボアズであった。

モアブの女ルツはナオミに言った。
「畑に行かせてください。
そして、
親切にしてくれる人のうしろで
落ち穂を拾い集めさせてください。」
ナオミは「娘よ、行っておいで」
と言った。

ルツは出かけて行って、
刈り入れをする人たちの後について
畑で落ち穂を拾い集めた。
それは、はからずも
エリメレクの一族に属する
ボアズの畑であった。

ちょうどそのとき、
ボアズがベツレヘムからやって来て、
刈る人たちに言った。
「主があなたがたとともに
おられますように。」
彼らは、
「主があなたを祝福されますように」
と答えた。

ボアズは、
刈る人たちの世話をしている
若い者に言った。
「あれはだれの娘か。」

刈る人たちの世話をしている若い者は
答えた。
「あれは、ナオミと一緒に
モアブの野から戻って来た
モアブの娘です。

彼女は『刈る人たちの後について、
束のところで
落ち穂を拾い集めさせてください』
と言いました。
ここに来て、朝から今まで
ほとんど家で休みもせず、
ずっと立ち働いています。」

 ̄ ̄
彼女は顔を伏せ、
地面にひれ伏して彼に言った。
「どうして私に親切にし、
気遣ってくださるのですか。
私はよそ者ですのに。」

ボアズは答えた。
「あなたの夫が亡くなってから、
あなたが姑にしたこと、それに
自分の父母や生まれ故郷を離れて、
これまで知らなかった民のところに
来たことについて、
私は詳しく話を聞いています。

主があなたのしたことに
報いてくださるように。
あなたがその翼の下に
身を避けようとして来た
イスラエルの神、主から、
豊かな報いがあるように。」

ルツ記2章1~7,10~12節


・補足・
落ち穂拾いについて…
貧しい人と寄留者のために
畑の隅々まで刈り尽くしてはならない
収穫後の落ち穂を残しておくことを
神はイスラエルの民に命じた。
レビ記19章9~10節参照

ルツ… モアブ人。
ナオミの亡き息子の嫁。
エリメレク…ナオミの亡き夫。

いきさつ…飢饉の為、ベツレヘムから
モアブに行ったエリメレクの家族。
エリメレクは死に、二人の息子は
モアブ人の妻を迎えるが
息子たちも亡くなる。
嫁の一人は実家に戻るも、
ルツだけはナオミと共に
ベツレヘムに帰る。ルツ記1章参照。