夏に知人の報道関係者がこう話していた。
『震災から20年だから色々と取材をね』
そうか、20年なんだ。
震災の後、電車が開通するのを待って南京町に出かけた。
三宮の高架下にある歩道は大きなひび割れがそこかしこに残されたまま。
南京町の店も店内で料理を作ることができないのか、どこの店主も店前で調理したものをお客様に振る舞う。
店前に並べられた点心でお腹を満たすことが彼らの力強い再生に向けた意欲の後押しになればいいのにと思い、夏空の下で炒飯を頬張ったことを思い出した。
その年の冬、神戸の街が煌びやかな明かりに包まれる。
鎮魂の光
希望の灯
神戸ルミナリエ
大阪で暮らしていた僕は震災で失ったものなんて何もない。
でも、20年を振り返ると胸が詰まる。
『バイトの空き時間があるようなら、ルミナリエ行こうか』
愛らしいレンタルショップ店員を誘った。
20年にこだわったわけでもなく、イルミネーションがどうしても観たかったわけでもない。
愛らしいレンタルショップ店員と一緒にゆっくりと過ごしたかった。
『はい、とても楽しみです』
二つ返事で可愛く頷く彼女。
いつ以来だろう、ルミナリエ。
待ち遠しい。
鎮魂と希望の光に微笑む彼女が見たい。
第20回神戸ルミナリエ
2014/12/4~2014/12/15