古坂大魔王的昔話・鶴の恩返し!!前回・・・・はこちら
襖に手をやるおばあさん。
ギッコンバッタン・・・ギッコンバッタン・・・・
ついにおばあさんは・・・・・襖を・・・・・開けてしまった!!
つ「・・・・・あ・・・・ああああ・・・・・・・クイェ~~~~~!!!」

・・・・鶴である!!
娘の姿があるはずのそこには・・・・一羽の鶴がい たのである!!!
自らの羽を、糸と混ぜ合わせ布を織っていたのである。
・・・・長らくの眠りから覚めたおじいさんも・・・見てしまう!!
じ「おおおおお!!!ジャポニカ学習帳!!
(・・・きっとあまりの驚きでついつい口走ったのであろう。意味は無いであろう。ユナイテッドアロウ)!!
・・・・お前は!!あの時の鶴!!」
つ「・・・・そです・・・ツルきゅん・・・私はあの時、命をおじいさんに救われた・・・・鶴です。ツルきゅん

おじいさんは驚いた!
ばばあイマイチ把握しきれず!
一旦便所。戻ってきて、すぐに驚きのポーズで停止。
つ「・・・・でも・・・・見られてしまった以上
・・・・もう・・ここには居られませんツルきゅん
・・・今までお世話になりましたツルきゅん

飛んで去っていこうとするおつう。
しかし、おばあさんはそれを許さなかった!!
ツルの足をつかみ・・
ば「良い!!良いぞよ、別に!!
鶴なら鶴で良いから・・・・居れ!!
ここにいて・・・折り続けろや!!
出て行こうなんてそうはさせんぞ!!」
鶴を捕らえようと飛び掛るおばあさん!!
その時だ・・・・
「バシン!!!」
とても乾いた・・・弾ける様な音が静寂を作った。

おじいさんがおばあさんの頬を殴る。
初めてである。
決して女には手を上げないおじいさんが・・・・初めてである。
きょとんとするおばあさん。
じ「・・・・おばあさんや・・・・俺はわかっていた・・・分かって居たんだよ。
お前が若い愛人と会っていたことも・・・・お金にがめついことも。
でも・・・でも・・・・・・・おばあさんは俺を愛してくれていた!!!
この世で一番愛してくれていた!!
・・・一番だと思っていてくれている・・・
そう信じていたからこそ一緒にいたのじゃ!!
おつうは可愛い。勿論前も膨らんだことも数知れずじゃ!!毎晩!!毎朝じゃ!!
じゃが・・・いまや本当の娘じゃと思っておる!!
もういい!!
出て行くのは・・・・おまえじゃ!!
ばあさん!!
お前が出て行け!!」
ば「・・・・ああ・・・・ああああ!!!」
泣き崩れるおばあさん。
じっと見つめるおじいさん。
鶴になったりおつうに戻ったり・・・もう訳が分からなくなってるおつう。
ひとしきりの静寂が過ぎ去って・・・
おばあさんが喋り始めた。
ば「・・・・・そうじゃ・・・・悪いのはわしじゃ。・・・わしゃ・・・バカじゃ・・。
おじいさんとひっそり暮らしていて・・・幸せなはずじゃったのに・・・
若い男と逢瀬を繰り返したり・・・・本当にバカじゃ・・・
おじいさんや・・・・・・わしが出て行く。ただ・・・・これだけは・・・・これだけは信じて欲しいのじゃ・・・」
上着を羽織り、笠を被り・・・杖を手にしながらつぶやいた。
ば「わたしゃ・・・あんたの事を・・・じいさんの事を
・・・・この世の中で一番愛していたのじゃ・・・これだけは本当じゃった。
人生どん底だった・・・16の時・・・死のうとしていたわしを救ってくれたのが・・・あんたじゃっただろ?
わしはあの時に・・・・おじいさんに惚れた。初恋だったのじゃぞ。
・・・70年じゃ・・・。70年じいさんを愛し続けました。
・・・・なのにわしは・・・・一番大事なものを失ってしまったのう・・・。」
吹雪の中に消えていくおばあさん。
おつうが言った。
つ「・・・・おじいさん。今まで有難う御座いましたツルきゅん。
・・・・どんな形であれ・・・鶴の姿を見られてしまいましたツルきゅん。
なので・・・私も出て行きます・・・ツル・・きゅん。
さようなら・・・。」
そういって美しい鶴へと姿を変えたおつう。
・・・・飛び立つ・・・・と、思いきやハタ織り部屋へとトコトコと・・・。
なにやら一枚の羽織をくわえておじいさんの前に立ち止まり・・・
ポトリと落としました。
鶴は
「クエ~~~!!クエ~~~!!!」
と、何度もこちらを振り返りながら去っていきました。
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吹雪の中宛も無くさまようおばあさん。
涙も凍り・・・・白髪頭も見えないくらいに真っ白な雪が頭に積もってます。
静かに・・・・
雪も手伝ってか、本当に静かに・・・・
積もり積もった雪の中に姿を消しました・・・・・。
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ば「・・・・・・・は?・・・・ここは??」
おばあさんが目が覚めると・・・
見慣れた我が家です。
じ「やっと目が覚めおったか?!!・・さあ、これでも飲んで暖まりなさいな。」
暖かいお茶です。
おばあさんは蚊の泣くような声で言いました。
ば「・・・どうしてじゃ?・・・・どうして・・・・」
おじいさんは、スっと鶴が渡してくれた羽織を出しました。
じ「・・・・ありがとう・・・ほんに・・・・ほんに、ありがとう。」
飛び切り綺麗な布で
丁寧に織られた・・
その羽織の内側に・・・とても小さくですが・・・こう縫い付けてありました。
「お誕生日おめでとうございます。私とおつうからの恩返しです。
私の救い主様へ。」
・・・・そして・・・おばあさんの名前である・・・・
「ツル江」
と、添えられてありました。
遠い遠い空の上から・・・・
「クエ~~~!!クエ~~~~~!!・・・・ツルきゅん

と、何かの鳴く声が聞こえてきました・・・。
めでたしめでたし。