前回の話しの続き、というか余談です。

仕事柄、東京の表参道界隈の不動産に関わる事が多いので、すこし事例を。

バブル崩壊後の2000年頃に表参道の不動産を買い始めたのは、
みなさんご存知のルイ・ヴィトングループです。(LVMH)
あくまでも噂の域をでませんが、買っていた当時の坪単価は2000万~3000万といわれてます。
彼らが買った場所はルイ・ヴィトン表参道店になり、Dior表参道店になったのです。

その後2002年頃だったかと思います、TODsが今の場所を坪3000万台で買って
2004年にショップをオープンしました。
また、交番近くのカフェを理想科学が同じ位の価格帯で購入し、
現在のフェンディ、ダナキャランが入居するONE表参道を2003年にオープンしました。

今考えても破格に安い値段です。

2005年頃には表参道界隈の価格上昇も顕著で、2006~2007年頃には坪1億円を意識する相場でした。

なぜそんなに価格が上がったのか?
路面部分の賃料は確かに上がりましたし、投資家の求める期待利回りが下がったのもありますが、
とてもそんなものでは説明出来ない水準です。

リーマンショック前のプチバブル期、銀行の融資合戦はかなり過熱してました。
ファンド会社は購入価格の1割程度のエクイティ資金を投資家から集めることができれば
残りの9割は大手の銀行がノンリコースローンを出しました。
ノンリコースですから、投資家は出資したエクイティ以上の損失は被りません。
よく考えれば、そんな深くローンを出す事は銀行にとって大きなリスクに思えますが、
融資残高を増やす事は銀行にとっての本業なのです。
一方、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスのような外資の投資銀行は深く提供したローンを
CMBSといった証券化商品として小口化して、銀行や年金に売却して利益を得ていったのです。

要するに、皆が様々な投資手法を駆使して都心の不動産業界にお金が流れ込んでいったのです。
バブルとは、民間企業が借入を増やして投資を拡大する事で発生します。
しかもデフレ下のバブルです。
製造業などの企業が設備投資のための借入を増やす事で国内の経済が成長(名目GDPの増加)するという、本来あるべき経済成長から遠い、
単に銀行の貸し出し先が無いから不動産融資を、という理由です。
不動産は一度に大きな額の融資額になるので、銀行は融資しやすいのです。

これがリーマンショック前の不動産業界の内情でした。
では今の銀行の不動産業界に対する貸し出し態度はどうでしょう?
それは次回に続く