黒歴史図書館

黒歴史図書館

小説ブログです。私が高校生の時にノートに書いていた小説を公開します。題名の通り、黒歴史になることを承知しながら書いていますwww新作も有り。
趣味で書いているだけですがアドバイスがあったら是非コメントお願いします^^

公開している小説はこちらです♪


HELL

第一章     第二章     

Amebaでブログを始めよう!

第二章 2


「いたぞ」
 紺色のパーカーを着た男が一人で、パソコンを操作しているのが見えた。こんな暑い時期に上着を着るとは、ひねくれた奴だ。白い仮面を被っていて、素顔が分からない。ヘッドホンをしていて、こちらの様子に気付いていないようだった。
「あいつがハッカーか? 俺より年下に見えるんだが」
「間違いない」
 俺と島谷は男に少しずつ近づいた。しかし、すぐに気付かれてしまった。
「俺ガドコニイルカ特定シテシマウトハナ、島谷」
 この不気味な声は……! あの放送で聞いたやつだ。
「一人、邪魔者ガ入ッタヨウダナ。オ前ハ誰ダ」
 怪しい男が尋ねてきた。
「お前から先に名乗ったらどうだ」
「俺ハ、行方不明ニナッタト騒ガレテイタハッカーダ。ツイ最近マデハ正義ノヒーロー扱イサレテイタノダガ、飽キテシマッタ」
「どうして急にこんなことをしたんだ」
「イツマデモ正義ダト思ワレルノモ辛イノデネ……マサカ正義ノハッカーガ街ゴト爆破シヨウトシテイルトハ誰モ思ッテイナイダロウナ」
 ハッカーは人の不幸を喜んでいるようだった。
「島谷、オ前ガ大人シク、ユリネニヤラレテイレバ、爆破スルヨウナコトハシナイノニナ」
「ちょっと待て!」
 俺は叫んだ。
「話が違うじゃねえか!! 島谷はここへ来たんだぞ!!」
「俺ハ島谷ノ屍ヲ見ナイト気ガ済マナインダ。手始メニ、オ前ラガ通ウ高校ヲ爆破シテ――」
 島谷が背後から、ハッカーのパーカーを掴んだ。
「!?」
「それはさせたくねえな」
 島谷は、ハッカーを椅子から転落させ、強引に仮面を奪った。憎しみを込めているような倒し方だった。
 ハッカーの素顔が見えた。ところが、それはどこかで見たことがある顔だった。
「……ここは?」
 ハッカーは立ち上がり、不安そうに辺りを見回した。声も不気味ではなく、聞いたことがあるものだった。
「園口(そのぐち)か?」
「あれ、村倉先輩!?」
 ハッカーは俺を見て驚いていた。ハッカーの正体とは、中学時代の陸上部の後輩である、園口 光太だった。園口は現在、中三だ。
 島谷は溜め息をついた。
「貴様、園口って言ったっけ」
「は、はい……」
「本当にクズだな」
 俺はその一言を聞いて、怒らずにはいられなかった。
「ちょっと待て、園口は俺の後輩だ! こいつは多分操られていただけなんだ!! 元々悪さをする奴じゃない」
「そうと言い切れるかよ」
 島谷は冷たく言い放った。
「えっと……僕は何をしていたんですか」
「そうやって記憶を無くしたように偽るのか」
「違います、本当に分からないんです!」
 園口は何が起こったのか分かっていないようだった。
「仕方無えな、最初から教えてやるよ、アホ。お前の最後の記憶は何だ」
「僕が外にいたら……スーツを着た女の人に連れ去られて……変な仮面を被せられた辺りから、記憶がありません」
「貴様はその後、ハッキングして、幾多の個人情報を抜き取った。要するに、貴様はハッカーではなくクラッカーになっていたということだ」
 俺にはクラッカーの意味がよく分からない。
「その上、この街を爆破しようとした」
「!?」
「クズの極みだな」
 園口の体が震えた。泣いているようだ。
「島谷!! クズって言い方は無いだろう!」
「貴様が犯人を庇うとは、落ちぶれたもんだ」
「今何て言いやがったお前……」
「もういい、二度と俺に構うな」
 島谷は捨て台詞を吐いて、去ってしまった。
「せ……先輩……」
 園口は涙声で言った。
「僕に関わったって良い事はありません……もう見捨てて下さい」
 その声は、絶望に満ちていた。
「園口、正直に言え」
「やっぱり、先輩は僕を信じてなんかいなかったんですね……」
 選ぶ言葉を間違えて、少し罪悪感が生まれた。こいつを傷つけたら駄目じゃないか。
「そういう意味じゃない。俺はお前に何を言われようと信じるし、見捨てるつもりはない」
「嘘なんか言わないで下さい……どうせ僕は後で裏切られるのに」
 園口は人間不信に陥っているようだった。俺が中学を卒業する前と、態度が違う。俺が中学生だった頃、園口はもう少しだけ明るかった。
「お前がどう思うかは勝手だけどさ、俺は今まで自分が言ったことは守る。……お前は街を爆破しようとする気は無かったんだよな?」
「……はい。操られていただけです」
「よし、分かった。とんだ災難だったな、園口」
「えっ」
「お前が変な奴らに目をつけられるほど、パソコンに強いとは知らなかった。凄いじゃねえか」
 警察官が役場の三階まで入ってきた。園口はそれを見て動揺した。
「せ、先輩……僕、捕まるんですか」
「心配するな、本当のことを言えば大丈夫だ」
 俺達は小声で話した。警察官は俺達に近づき、尋ねた。
「君は……村倉君だね。さっきは君のお陰で銃を持った女を逮捕できた。協力ありがとう」
「いえいえ」
「ところで、そこにいるのは行方不明になっていた園口君じゃないか。どうしたんだ」
 園口は恐る恐る答えた。
「実は……僕はさっきまで操られていたんです。ハッキングしたり、街を爆破しようとしたのも僕です」
 警察官は驚いた。
「君は正義のハッカーとして活躍していただろう……どうしてこんなことを」
「これのせいです」
 園口は床に落ちている仮面を指差した。
「何だ、ただの仮面じゃないか。これがどうかしたのか」
「すいません、ちょっと被ってみても良いですか」
 園口の無実を証明するために言った。
「ああ。一度やってみてくれ」
 俺は仮面を被った。
 ――しまった。この街を爆破しなければ。島谷は処刑されずに終わってしまったしな。俺は急いでパソコンの前に座った。
 ――あれ、この街を爆破するパスワードって何だったっけ。考えている間に、弱そうな男に仮面を外された。
「ん?」
 俺は何故かパソコンの前に座っていた。つまり、園口の無実を証明するのに成功した。
「恐ろしい仮面だ……」
 警察官は再び驚いた。
「園口君、君が操られている間にやったことを全て解除することはできるか」
「……はい、やってみます」
 園口はパソコンに向かった。