今日は宮田比呂志さんの馬券術を学ぶシリーズの5回目です。前回までは前日(までの)予想の話でした。バイオリズム論は宮田さん独自の世界で、やや引いてしまうという人がいるかも知れませんが、調教時計や「変化」の話については、大概の人に異論はないと思います。今日からは、当日予想の話となりますが、ここからが宮田さんの予想の真骨頂です。私も「基本」に立ち返って学び直そうと思っていますが、17年も前に出た本ですんで、いかんせんデータが古いです(「前総理大臣の安倍さん」というのは、2012年から約8年続いた安倍政権ではなく、その前の一次政権=2006~07年の話ですんで、念のため)。この点はご了解というか、ご寛恕の程を。

 

脱・KY族 ――

 ……07年の流行語に「K.Y.」ちゅうのがありましたな。はじめてこの言葉を聞いたとき、ナンノコッチャと思いましたよ、私も。「空気を読めない」ことを略して「K.Y.」だそうですが、意味を知って苦笑してしまいましたわ。「空気が読めない」のはなにも前総理大臣の安倍さんだけではない、競馬ファンにもKY族が多いなあ……と。競馬新聞は読んでも、私が口を酸っぱくして説く「流れを読む=数運をつかむ」ことはしないんですから。……

 

 では、ここからは「数運」を読み解く【枠連法則】【枠人気法則】【枠の強弱】について説明しましょう。……現在売られている馬券の種類(には)……、①単勝……、②複勝……、③枠連……、④馬連……、⑤馬単……、⑥ワイド……、⑦三連複……、⑧三連単……(があります)。この8種類の中で、枠連はとても異質です。複数の馬を枠でくくって1枠から8枠までに配して、その枠番号の組み合わせを当てるというわが国独特のもの。

 流れを読むには、シンプルさがとても重要なんですわ。シンプルであればあるほど特徴が際立ってくるからです。現在、中央競馬の出走馬は最大18頭に制限されていますが、枠連はどんなに頭数が多くても1枠から8枠までで、ざっくり「数運」をつかまえるにはぴったりなんですよ。枠連を利用する理由はそこにあります。……

 

 では、なぜ「流れを読む=数運をつかむ」ことがそれほど大事なのか?

 競馬を含めて勝負事には、常に人知の及ばない“動き”があるからなんですわ。

 調教やレース内容や仕上がり具合などを材料とするオーソドックスな推理で的中馬券が得られるならば、低配当レースばかりとなって興行として続かないでしょう。

 いわゆる推理で把握できるのは3~4割がせいぜい、と私は考えています。どんなに優れた推理をもってしても最高で3~4割しか当てることができない。プロ野球選手の打率と同じです。むしろ3割をマークすれば好打者と評価されますし、天才・イチローでも打率4割を超えることは至難の業。推理の限界もそのあたりでしょう。

 未知の“動き”が存在するかぎり100%読み解くことは不可能としても、残りの6~7割を少しでも切り崩していく手立てを見出せれば、それだけ馬券成功組へ近づくことができます。

 その手立てこそ「数運をつかむ」ことなんです。人には見えない“数運シグナル”を先取りしてしまえばいいんですから。

 

 「数運をつかむ」といっても、判断基準とするべきスケールが必要です。何をもってスケールとするか――それは長期間の統計データからくっきりと浮上してきた数々の定石がそれです。もちろん、相手は動いていますから、その定石が毎回ぴったりと当てはまるとは言い切れないのですが、定石を武器に数運シグナルを読み取って網を張っていれば、ここに掲載した高リターンの大物がかならずかかってくれるんですね。それが、宮田宇宙流というわけです。

 

成功組へ近づく法則 ――

【枠連法則】

 これははじめての方でも入りやすい簡単な定石です。日によってよく出る枠と出ない枠があるというのはベテランのファンの間ではよく知られています。いわゆる「出目」ですわ。

 統計を分析すると、枠の出現に3つのパターンがあることがわかります。

 

(A)1・4・7枠が強い日

(B)2・5・8枠が強い日

(C)3・6枠が強い日

 

 マージャンでいう“すじ”というやつ。古代中国を発祥とするマージャンも、宇宙の動きを予測する呪術的部分を色濃く含んでいますから、同じような数列になるのも当然かもしれませんな。私の統計では、およそ60%の日がこの3パターンのどれかに当てはまります。

 前半のレースでこのパターンをつかまえれば、それを後半の馬券作戦に活かすことができます。典型的な日を挙げてみましょう。

 

 07年10月6日、東京競馬の前半5レースまでの(枠番連勝の)結果は、

 1R 2-8

 2R 1-5

 3R 2-3

 4R 1-2

 5R 2-3

 

となっています。「2・5・8」のBパターンの日であることがわかります。6レース以降はどうなったでしょうか。

 6R 5-6

 7R 7-8

 8R 3-6

 9R 3-3

  10R 3-4

  11R 5-5

  12R 5-8

 

 私たちが狙うメインレースと最終レースが、パターンどおりになってます。

 

 07年10月20日、福島競馬を見てみましょう。

 1R 3-6

 2R 1-6

 3R 2-4

 4R 7-8

 5R 2-4

 

判断に迷うところですが、「1・4・7」のAパターンのようです。

 6R 4-7

 7R 4-5

 8R 1-2

 9R 2-8

  10R 1-6

  11R 5-7

  12R 1-1

 

8Rまで待てば、やはり「1・4・7」の日であることがはっきりします。前半で判断がつきにくい場合、もう2、3レース待つことをおすすめします。それでもはっきりしないときは枠連法則に合致しない日なのですから、それ以上追うのはやめたほうがいいでしょう。……

(宮田比呂志『「数運」をつかむ技術』 20・53-59頁)

<続>

 

補足)上の宮田さんのデータが古かったので、直近の例で確かめてみましょう。5月11日(日)の京都競馬の枠番連勝の推移は以下のとおりで、この日は「2・5・8」が強めに出ている日でした。

 1R 3-6 

 2R 25

 3R 4-8

 4R 7-8

 5R 1-3(3着 5枠)

 6R 88

 7R 2-3

 8R 6-8

 9R 4-5

  10R 3-6

  11R 2-7

  12R 28

 

 10Rで3着内に「258」が来なかったことで、次のメインが少々不安になりますが、それまでがそれまでなので、これは一種の「目くらまし」ととらえ、2枠のテーオードレフォンを主軸に据えて、結果「的中」です。

 他方、この日の東京競馬は、9Rまでは明らかに「1・4・7」が強い日でしたが、10Rでいったん途切れたので、こちらも同じように不安を覚えましたが、4枠のアドマヤズーム軸で大丈夫だろうと判断したところ、結果あの通りの惨敗でした(!)。

 

 ……という具合に、同じ日でもそんなに単純にことが運びませんが、馬券作戦を考えるときの有用な武器になると思います。

 

 

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