シリーズで、我が師・宮田比呂志さんの馬券術を掲載しています。先回の引用では、宮田さんは馬券予想をする上でのポイントを5つ挙げていましたが、まず最初に上がっていたのが、【タイム】と【バイオリズム】のよい馬の中から軸馬を選ぶということでした。今日は、【タイム】(各馬の持ち時計)についての解説部分を引用してみます。「宇宙流」とか「数運」などという語を見ると、引いてしまうという方は、理由はよくわからないけれども、統計上そうなっている話と思ってお付き合いいただければ、と思います。

 

 ……宇宙流と言われる私の方法の特徴は、「流れを読み、数運をつかむ」ことなんですが、レース当日に変更するといっても、前の日に予想した軸2頭を1頭軸にすることや、相手馬に数運のシグナルに該当する馬を付け加えたりする場合がほとんどで、前の日の予想をそっくり捨ててしまうということはめったにありません。

 したがって、「仏作って魂入れず」と言いましたが、基礎となるべき「前日予想」は流れを読むことと同じように手抜きをするわけにはいきません。とくに軸とする2頭は勝負を決めるおおもとですから慎重を期す必要がありますわ。「推理だけでは3~4割が限界」としても、手抜きをすれば1割、2割に低下しかねません。

 血統、騎手、調教、タイム、競走成績、距離別成績、競馬場別成績、枠順、展開、前走のレース内容、厩舎コメント、パドック、記者情報、◎〇などの印、人気……推理のファクターはさまざまありますわ。一つ一つをとればどれも大事で、総合的な判断が求められるんですがね、ファクターが多い分だけ、ブレというか迷いも大きくなってしまうんですわ。

 ブレを小さくするには、どうすればいいか。

 簡単ですわ。判断のものさしを数字だけにするんです。主観の入るものは排除してしまうんですわ。調教の良し悪しとか厩舎のコメントとか、印、記者情報、パドック情報などは他人の目を通したもので、ひじょうに主観的なものですから、判断材料とはしないことです。

 私は、前日予想をする際の推理ファクターを次の5つにしぼっています。

 

 ①持ちタイムと近3走の走破タイム  50%

 ②バイオリズム(後述)         20%

 ③調教               20%

 ④騎手                 5%

 ⑤馬場の適性              5%

 

 こうすると、ファクターがずいぶん軽量化されてきます。

 数字の中でもっとも重要になるのが、その馬の持ちタイムと全成績で、現在の状態を判断する調教タイムがそれに続くというのが私の考えです。これまでのレース内容も軽視できませんが、これには経験が必要ですから、ここでは触れないことにしましょう。

 私が軸馬を決める最大のポイントである【持ちタイム】と【バイオリズム】について説明します。

 

 【タイム】

 私たちがレースに出てくる馬たちの優劣を測る材料は、各馬の持ちタイム以外ありません。……各馬のタイムを比較していくわけですが、今回走るのと同じ条件(同じ競馬場の芝、あるいはダート)の同じ距離の数字を見ていきます。重要な点は、0.1秒速いから、こっちの方が上だというように、あまり厳密に考えないことです。

 というのは、競馬は陸上競技の100メートル競走のようにセパレートコースで走るわけではありません。大外を回らざるをえなかったり、レース中前が詰まったり、はじかれたりしながらゴールを目指します。不利を受けた馬とそうでない馬では、0.2秒や0.3秒の差はあるものです。たとえ出走馬の中でいちばん速いタイムをマークしていたとしても、今回と同じように走れるとは言えません。

 私はプラスマイナス1秒を基準にしてます。1秒以内なら能力にそう差はないと見てるんですわ。

 ただし、持ちタイムがいいといっても2年以上前のものは重要視しません。最近の能力を反映していないからですわ。そして、最近3走でタイムを詰めている馬は “買い” 材料です。時計を短縮するのは、それだけ力をつけてきているわけで、数字からそれを読み取って先んじることが穴馬券に直結するんですね。……

(宮田比呂志『「数運」をつかむ技術――11億円を稼いだ競馬統計学』、2008年5月、講談社、80-83頁)

 

<続>

 

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