今回の東日本大地震について、世界のメディアが惨劇の報道に加えて、日本人を称賛している記事をご覧になった方々は多いと思う。反日の中国ですら、称賛を惜しまない。スーパーの襲撃や物資の争奪戦もなく、「日本の人々には真に高貴な我慢強さと克己心と規律がある」(11日付NYタイムズ掲載N.クリストフ氏寄稿)と誉めあげている。(http://kristof.blogs.nytimes.com/2011/03/11/sympathy-for-japan-and-admiration/)

阪神淡路大震災の時もそうだった。いや、昔からそうだったのである。
卑弥呼で有名な所謂「魏志倭人伝」にも、倭人の国は「不盗竊(窃盗せず)」とある。今から1700年以上昔の日本である。その頃は交番もなかった。
1549年来日した聖フランシスコ・ザビエルがゴアのイエズス会員宛に書いた手紙は、「貧しさを恥としない」「知識欲旺盛」など日本人の驚嘆すべき資質をあげた中で、「盗人が少ない」とも記している。(pp86-133 東洋文庫581聖フランシスコ・ザビエル全書簡3、河野純徳訳、平凡社)

アルゼンチンに赴任して同国の警察長官に面会した時も、「19世紀末最初の日本人がわが国に移住して来て以来百年間以上、一人も罪を犯していない。日本人は信用できる」と述べていた。
その話をしたら、同地の日系のお医者さんが、「日本人が大学のクラブに入会すると、決まって会計担当をさせられる」と笑いながら話してくださったのを思い出す。

勿論犯罪が少ないだけでは不十分だ。司法制度もしっかりしていなければならない。司法は、英語でjusticeである。正義と公明正大の象徴でなければならない。
旧ソ連時代のジョークにこんなのがあった。ハンガリー政府代表団がモスクワに赴き、ブレジネフ書記長と会談した。ハンガリーの団長は、「潜水艦を所有したい」と許しを請うた。ブレジネフは、「内陸国ハンガリーには無用の長物」とはねつけた。すると、ハンガリー代表は、「では貴国には何故法務省Ministry of Justice(直訳は正義の省)があるのでしょうか・・・」と述べた。

日本では、最近証拠の改ざん等をめぐる検事の刑事責任が話題となったが、幸いにも検事や裁判官への賄賂の話はあまり聞かない。
しかし、アジアの某国では、「最重要事件は、政治が決める。次に重要なものはお金が決める。どうでもいい事件を判事が決める」と言われ、別の国では、「下級裁判所は腐敗していて、すべてお金が決める。最高裁だけは清廉で有能で、忍耐強く最高裁まで持ち込めば最善の結果が得られる」という。そして、日本を羨ましがる。
色々問題を抱えてはいるが、やはり日本が世界に誇れる国であることは間違いない。