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芝生の公園の
木の下には
たくさん落ちていました
どんぐりです
どのどんぐりも
割れていなくてきれいで
拾い放題でした
帽子を被っているどんぐり
緑色のどんぐり
赤ちゃんみたいな小さいどんぐり
細長いどんぐり
私は
両手いっぱいに
いろんな種類のどんぐりを集めました
子どもにもたくさん見せてあげました
立派な小枝と枯れ葉の付いた
どんぐりの帽子を
手に持っているどんぐりに被せて
私とっても似合うでしょ？
いやいや僕の方が似合うよ！
などと言っては
どんぐりのファッションショーをしました
子どもにも
たくさん持たせてやりたくて
小さいのもどうぞ
帽子のついたのもどうぞ
と差し出しましたが
手に取ってくれませんでした
しぶしぶ伸ばしたその手から
ひとつどんぐりを落としました
落ちたよ
そう言って
私は拾ってあげたのですが
違ったのです
落としたのではなく
捨てたのです
今
手に持っているものを捨てて
新しいものを手にいれただけだったのです
娘は
右手にひとつ
左手にひとつ
自分の持てるだけで満足していたのです
私は
衝撃を受けました
ミニマリストになりたいと言いながら
まだ一才の娘の方が
ずっとミニマリストなのですから
あれもこれもいろんな種類を
小さな手に無理やり乗せようとしていた
自分が恥ずかしくなりました
どんぐりも枯れ葉も枝も
充分に遊び尽くしました
両手いっぱいに集めたどんぐりは
公園に返してきました
子どもが両手に持っていた
たった二つのどんぐりも
いつの間にか
その手から無くなっていました
私はもう
以前のように
持って帰ったりはしません
夜になって
寝る前に
子どもを抱き締めながら
一日の出来事をふりかえっていました
どんぐりたくさん見つけて楽しかったね
と話しかけると
うん！
と返事があったので
楽しんでくれていたんだと思います
たくさん遊べて良かったです
モノは増えなくても
いい思い出ができました