おはようございます
いつもお読みくださり
ありがとうございます

北千住
シアター1010
令和6年5月文楽公演
豊竹呂太夫改め
豊竹若太夫襲名披露狂言
和田合戦女舞鶴






綱手は桐竹紋臣休演で吉田玉誉がつとめていました。






ストーリーがまだ呑み込めてないところがありますが
主人公・板額(怪力で強い力を持つ女性)が実の子の市若丸を尼将軍の孫の善哉丸の身代わりにしなければいけないお話でした。

その身代わり方法が
我が子を一室に閉じ込め
その外の部屋で母である板額が一人芝居をして市若丸を自害へ追い込むというもので、びっくりしました。

そんな一人芝居を打つ板額の様子をチラリトのぞきにくる人(綱手)やずっと外で市若丸の首を待つ父親、さらに部屋の中で追い詰められていく幼子という構図が・・・サスペンスにあふれて、そして、この図が何を現しているか、いろいろと解釈が出来そうですね。(お父さんも悪い人ではないのですが・・・)

あどけなさが残る、初陣の、死もなにかわかっていないような、でも真面目につとめを果たそうとする子どもを自害させて、そうしてその死を、大人たちが賞めるのです。それはとても哀しい景色でした。哀しいのにおめでたいことであるかのようにすら振る舞わなければならないその状態は私達の現実の戦争をも思い出させました。最後に『御苦労』という言葉と共に(任務完了的な言葉?にけれど本心を圧し殺してもとめられない心が聴こえてせつなかった)首に頬寄せる板額の姿がたまらなかったです。語るお声も人形の姿も両方がひとつになって見えてとけて心に響きました。

最初に市若丸と再会する板額の武装姿が格好良かったです。そして初陣の鎧兜姿の我が子を労る姿の母子らしい姿(細やかに点検してあげるような仕草の)ぬくもりや優しさ。私は戦はしたことがありません。初陣も鎧兜を身に纏ったこともありません。でも二人の様子に懐かしさを感じました。(小学校にはじめて登校したときのような?)
(そんな鎧兜で完全武装した男の子を軽々と持ち上げてしまうのが板額!😆✨)
(【セーラームーン】ならジュピター的ヒロインかな?!)
(高橋留美子先生のラブコメのヒロインぽみも感じます♪)

我が子を死なせるための一人芝居姿は異常です。異常なのに、無双な怪力の持ち主である板額が徹底的にこの状況に追い詰められながらその身体をうねらせひねり動き回る姿は加虐と被虐の両方が合わさった独特の美しさがありました。重々しい鎧も板額は羽織かなにかのように扱えてしまうほど力はつよいのに、なのに、この状況に責めさいなまれている
(圧倒的に強い存在が無力な立場にならざるを得なくなるというのは、その、、、私の性格悪いのを曝すようですが、萌のような、そそられる?ような気分もあります。冒頭に例えに出したアニメや漫画のヒロインたちへ抱く気分と同じです)
市若丸のあどけなさもこの状況の悲劇をよく浮かび上がらせてくれていたように思いました。

主殺しの荏柄平太が実の父親なのだと母親に【思い込まされて】【自害へと誘導】された市若丸が、実父が誰であれ板額と与一をこそ父母と思うと市若丸が伝える姿が、とても切なかったです。そして板額も我が子へ真実と愛を伝えるのですが、とてもくるおしい気持ちになりました。
目の前に広がる光景とは別の刺激される感覚があって、その感覚では血のつながらない親子関係への物語の?作者さんの?意識を感じることができる気がするように思いました。(優しいし、でも確信犯なら、悔しいほど『巧い』ような)
(他の物語も、浄瑠璃のそういうとこ凄いと思うの)

物語そのものに未だに私は詳しくなることができていませんが家族の中の孤独や葛藤の、文楽や歌舞伎の、人間の描き方は他では得難い魅力を受け取ることが出来ている気がします。物語の結末に救いは無くても昇華する想いがあるような。

人形浄瑠璃を聞いているときの二重三重の意味が重なるような記憶への刺激は自分自身でもわかってない心の奥の抽斗を開けてくるので理由がわからないままに涙が止まらなくなったり大変です。今回も細かな理由はわからないままに涙が流れて困りました。(ドライアイとか涙が多い症状ではない😂)

新・若太夫はとても丁寧に慎重に歩みを進めるように語りはじめるのだなと思いました。そのきめ細やかな響きを味わえて気持ち良かったです。美しい、感じ。シャイな感じは今回はあまり無かったです。清介さんとの距離感も今振り返りながら考えて(味わって)います🌸


全体の結末はどんな決着なのだろう
主殺しと見せて実は平太は助けてくれてたとかそういうエンディングなのかなあ。


立ち見でいいから1500〜3000円くらいの席を作ってほしいです😂リピートしたい〜!



今日も素敵で無敵な一日と
なりますように

では、また!