新橋演舞場
八月花形歌舞伎(2011)

七代目中村芝翫
第二部の『夏魂まつり』で若旦那栄太郎を踊る。

「八月興行への出演は、平成九年歌舞伎座の『八月納涼歌舞伎』以来です」。
作者の九條武子は与謝野晶子と並び称された明治、大正を代表する女性歌人。美貌でも
令名を馳せたが、昭和三年に没した。
 「亡くなられた翌年の七月に明治座で、父(五世中村福助)は彼女を主人公に据えた新作歌舞伎『九條武子夫人』を勤めました。その際に父はゆかりの方たちに取材し、武子夫人のお姿に近く演じたそうです。以来、我が家とのご縁も深く、武子夫人が関東大震災の被災者のために創始された救護所がもととなったあそか病院には、お世話になりました。長女、次女、長男の福助の三人はあそか生まれなんですよ」。
大文字の送り火が背景となる。
「魂を送る。東日本大震災で亡くなられた方たちへの、鎮魂の思いを込めます。今回は、家内のおじである野澤松之輔の曲を、常磐津文字兵衛さんに補曲していただきました」。


中村福助
*夏魂まつりコメント部分のみ抜粋
『夏魂まつり』には、父、芝翫の想いも深い。
「震災以来、自分たちに出来ることを様々に考えました。それはやはり、舞台を観ていただいたお客様に少しでも光を感じていただくこと。大文字の送り火を背景に、鎮魂と復興への祈りを込めて勤めさせていただきます」。


三代目中村橋之助
*夏魂まつりコメント部分のみ抜粋
「女方は本当に久し振りで楽しみです」。
新作歌舞伎主演、次の部の舞踊劇【宿の月】にもメイン出演のためこの演目へのコメントは控えめ。