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猿若祭二月大歌舞伎2024
02月24日(土曜)
歌舞伎座、昼夜

メモ的に。

🌸
昼は昨日ややせっかちな気配有り
ロビーに御挨拶かご夫人たちも揃っていた様子なので特別なお客人でもあったろうか

昼の部
【新版歌祭文】
児太郎の声の感じが少しつらそうだったので少し心配、演技は身体のしなりも美しく絵になっていた。鶴松は比較すると躍動感はあるが身体は硬そうに見える。彼の『間』が好きだ。特別な公演のみならず再演を重ねていけると良いと思う。
この日は七之助・鶴松が紡ぐ兄妹のようにして育った許嫁同士の関係性がよく見えておもしろくおもった。彌十郎の父様ぶりもしみる。
前半がドタバタラブ・コメディから義太夫らしい感じが増したように思う。この違いはなんだろう。
その場にいる全員が誰かのために死のうとするところは笑いが起きやすいようだ。俯瞰してみれば確かに滑稽な景色ではあるが、でも。
駕籠かきたちの衣裳は太ももあたりにスリッドが入っているのでチラリズム(丸見えだが)眼福

【釣女】
今日は全体ハチャメチャモードにならない塩梅に見えた。獅童さんの太郎冠者は勘三郎オマージュ強めな日だった印象。獅童さんがトライしようとする気配があったがこの日はしこめの芝翫さんが抑えめ。ご夫人たち(お姉さま含む)いるときの幸二さんのお芝居はそういうところが多々ある印象なので(末っ子モードなのだろうか🤭)居ない日のほうが彼の芝居を見るという一点においてだけはハラハラしないのだが。(私はあまり役者さんのご家族のお顔まで一人一人把握していないので私がお顔を知っている方々皆様お元気そうで良かったです)
芝翫=しこめが萬太郎をがっしりホールドしていたのが印象的だった24日。きゅっ!

【籠釣瓶花街酔醒】
七之助=八ツ橋の商売の顔と素の顔が一つの体の中で交差し破滅へ向かう彼女の運命の目撃者になったようだった。

最初の花魁道中の『笑い』は美しい仮面に思えた。
勘九郎=次郎左衛門が彼女の虜になり執着・酔を強く感じ、その後の殺しの萌芽がその出逢いから見えるよう。
初日頃見たものより『純粋な憧れ』よりは執着の色がはっきりしたのかもしれない。

七之助=八ツ橋が栄之丞たちに追い詰められるところは何か被虐的な生々しい色っぽさがあった。
栄之丞がプンスカしながらも働く女性たちに優しいセリフじゃないようなセリフを舞台転換間際してるのが良く聴こえたし八ツ橋が縁切りを了承する言葉も良く聴こえた。
松緑さんの権八の嫌なやつなのにこぎみのよいような面白さリズムがとても印象的だった。

八ツ橋の縁切りのところはその感情の爆発(仮面?と素の重なり、その露出や絡まり)と
勘九郎=次郎左衛門の傷ついていく様子と感情の爆発が
見事なVSとなって見応えがあった。
八ツ橋の叫びに自分の心も重なるような引っ張られるような力を感じ揺すぶられた。
各々の置かれた立場と状況が壊され破滅する哀しさ。起承転結の中で破滅する一人の『人間』たちを観ることが出来た充実感。


【猿若江戸の初櫓】
八ツ橋から阿国への転生(ちがう)七之助が伸びやかで眩しい。
勘太郎が猿若だった。猿若だけど。猿若だった。父・勘九郎でもハッとした感じを彼にも感じた。
福助が魅力を発揮。凄まじい人である。
だが前回観劇時の凄まじさは本当に格別なものがあって、きっと彼にとって特別な方々が来ていたのではないかと、そう想定している。彼に届いているのだなと思えた。ファンの方々の心はしっかりと間違いなく彼に届いているのだなと。彼はしっかりと受け取り間違いなく受け取り自分自身の命にすらしているようだ。凄まじい役者である。

【義経千本桜〜すし屋】
時蔵さんの弥助が本性を現し弥左衛門と会話する場面、義太夫の、語るにつけて維盛も栄華の昔、・・・というところ時蔵さんの姿とともに弥助じつは維盛の生きてきた月日を感じられるようでその味わいをいいな、と思った。

梅花が息子の帰還から死にゆく息子との最後の時間まで実に丁寧につとめているのを感じた。24日は最期の時を迎える権太との距離感・親密さがたまらなかった。
幸二さんはこの日この場面ひどく早い段階で汗をたくさん流していた。その分、長く下がった髪が濡れていささか倒錯した気分になる。だがしかしここのかつらと姿の美しさは菊五郎さんの姿を敢えてここで推そうと思う。芝翫さんがこれから(残り2回だが)どんな権太の最後を見せてくれるか楽しみだからこそ。

幸二さんの権太はスムーズだが落ち着いてしまった感もありもっとチャキチャキした感じがあっても・・・と言いながら私も権太の面白さとは?と彼を見ながら考え考え学びながらである。二代目松緑さんの面白さとは。今の私にはハードルがかなり高い。
昨日は動きそのものよりお腹の中の権太の心の動きに惹きつけられていたのかもしれない。こっち向いてと見えない糸でひっぱられるようなゾクゾクさせられてしまう感じ。お前を見るしか無いじゃないか。と悔しくなったり。
台詞の響き好きだ。

梅枝さんの昨日のビビビ最高
生き生きとこの娘を生きている

【連獅子】
勘九郎さんがゾットするほど、人間ではなく獅子の精そのものであった。空間をつかまえて静止する様がおもしろくておもしろくて見事だった。
長三郎さんもあどけなくも近づきがたい獅子の精の片鱗が見えたようだった。
狂言師のときの勘九郎さんの集中力も強くそしてセクシィであった。この人がさらに成熟していくこれからの年月が楽しみでワクワクする。長三郎さんの様子に今日は短時間でも激しい毛ぶりはやめたようだった。獅子の精として全集中な様子なのによく気配を読んでいると感じた。

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今日も雨降りで寒いです
寒暖差が激しい
皆様どうかお身体を壊しませぬように
役者さんたちも職人さんたちもみんなみんな無事に千穐楽を迎えられますように