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感想ラスト

歌舞伎座
猿若祭二月大歌舞伎
昼の部
籠釣瓶花街酔醒
初日と二日目ごっちゃ(基本初日)

簡単感想です
全然間に合わなかったー💦

さて

🌸
勘九郎さんの目の輝きが凄まじいくらいに印象に残っています。瞳から光のしゃぼん玉がほわほわほわほわずっと溢れてでているくらいの輝き眩しさ。それははじめてきた花街の美しさにときめく男の目でもあり歌舞伎座という劇場を好きな役者の目にも思えその重なりあいが(こちらが勝手にそう思っている妄想ですが)おもしろいように思いました。

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橋之助さんのお役は役の動きのデフォルメぶりがその人物を少し馬鹿にしているように見えて鼻につき私は好きではなかったです。後半、主人のために熱く怒ってくれているところ、とても情熱的でした。
(※二日目はデフォルメぶり落ち着きました)

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七之助さんの八ツ橋花魁。ずっと演じたいと言ってきた八ツ橋花魁。その念願のお役の、花道でのあの笑みを私は宝物にしていきたい。そして生涯の観劇人生でまた出逢いたい。次郎左衛門運命の女。人生を狂わせた笑み。目と口がするりと細くひかれお歯黒が黒い細い月のようにのぞく美しさ。人を嗤うでも無く笑うでもない笑みを。

(※初日は花道の花魁の八文字、地面にまで垂れる五色の糸が足元に絡まってヒヤヒヤしたけれど二日目は絡まることもなくヒヤヒヤさせることもなく立派でした)


後半、勘九郎さんに私は大きな許容力を感じているということもあるからか『恥をかかされた男の喪失感』のようなものをあまり強く感じず
その後の殺人を決意するにいたる『闇』もしくは『刀』の妖しい力を感じなかったこと
(しかし彼の身体能力がいかんなく発揮して妖刀の力に引きづられる男の肉体となるのを私は目撃した!)
(勘三郎さんはどうだったろう。妖刀強調じゃなく真景よりだった気がするけど←明確な比較での印象ではないです)

対する七之助さんも
玉三郎さんと比較すると
『次郎左衛門への申し訳ない気持ち』がはっきりせず
色街の女のある種のさっぱりさ残酷さをむしろほのかに感じたことが印象に残りました。


二日目は仁左衛門さんとのお芝居から一気に『玉三郎の写し』の如くな七之助さん。昨日より今日、花大きく開花するような姿。八ツ橋の輝きと何より哀れも明確。置かれた立場。追い詰められた状況。
この明確さは
物語のテーマの明確さはこの日舞台出演の全員にあったと思います。
勘九郎さんの佐野次郎左衛門も二日目、追いつめられて闇が深まる部分が増してテーマが初日より明確になったように見えました
(でもどこか勘九郎さんの次郎左衛門は寛大でハッピーエンドに転じさせる底力が在りそうに思えてしまう私)
八ツ橋花魁をつとめる七之助さんとの演技の呼応ぶり、熱かった!

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彼等を支え脇を固める人達の力も大きく
歌六、仁左衛門の魅力と実力の大きさがやはり圧倒的。
歌六さんの頼もしさ、私も眩しいばかりでどこを頼りにしていいかわからない世界で彼のお役に出会ったらどれほど頼もしいだろう。パッと出てきて安心させてくれました。さり際の背中のかっこよぶり!松緑さんのお役との対決ぶりにも惚れ惚れ🥰
(※時蔵さんと国生さんはお声の響き同じタイプに思えたことをここにメモメモしておく)

吉之丞さんの静かに控えている姿、目つきの吉右衛門さんぶりにハッとして😌

仁左衛門さんの愛らしさ、仕草のひとつひとつ、すきもなく魅力的なこと印象的なこと!八ツ橋の心の支えなのに、嗚呼、です。彼とのお芝居で七之助さんが一気に玉三郎さんの写しモードになるのは女方の本能のようなものあったりするのかなと思ったりしました。
(先日の浅草公会堂の米吉さんもだけど相手役者さんの好みの女性像・・・引き立つ女性像?になったりするのかなぁとチラっと思ったの)

松緑さんは、私の中では今回のお役とは逆の印象で魅力的な女の被害者のお役のイメージが強いのですが、今回は小悪魔なそそのかしぶりこいつさえ居なければまだ八ツ橋に救いがあったかもしれない未来を思えました。

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芝のぶさんの傾城姿
歌女之丞さんの遣り手ぶり
國久さんや嶋之亟さんの演じるお役の感じさせてくれる人生や・・・
山左衛門さん・いてうさんの幇間の幇間らしい(私は本物の幇間さんと接したこと無いけど接客のプロという印象)気遣いぶりが泣けて救いで有難い。山左衛門さんうんと元気でいてね。ずっとずっとずっと。しんじゃいやだよ。ずっと生きててほしい

※国生さん懸命に勤めていたし花形を引き立てる配役は必要なものなのだろうから否定したいわけではなくてなんだけど、ある意味でリアルな主従関係である山左衛門さんやいてうさんが下男治六勤めたらどんなだろうと好奇心が湧きました。

こんなふうに通って芝居を見るようになったから鈍い私でもより感じられる味わいがあって、なんでもっと早く歌舞伎に出逢わなかっんだろうともどかしくもなる瞬間でした。
つまり幸せってことよ

ここに具体的にお名前を出していなくても
一人一人が生み出し描き出し深まるお芝居の空気があって、私は久しぶりの『籠釣瓶花街酔醒』でしたが、名作ぶりを堪能しました

勘九郎・七之助が私が出会った頃の勘三郎さんの年齢になる頃、どんな次郎左衛門や八ツ橋をつとめてくれるか、私はその時も芝居の国に来ることが出来ていて味わえていたらいいな、と思いました

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二日目は、いつの芝居の桜吹雪の名残か、席に桜が一片舞い降りてきて、何か気分良かったです


🌸


では、また