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文藝春秋
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永久保存版
平岩弓枝『御宿かわせみ』の世界
『鏨師』を含めて今回の収録作品は文庫版を持っているので小説部分はとばして読み進めた感想です。
「御宿かわせみ」を中心に、平岩弓枝さんの軌跡も知ることが出来ました。
当時戦後最年少記録であった『鏨師』直木賞受賞時の弓枝さんの言葉や選評の言葉も再録され弓枝さんが若手の頃のその当時に自分がいるようで面白かったです。その次にその『鏨師』が掲載されています。ちょうど文庫本を購入したばかりでしたが雑誌掲載形式の良さもあるのでこれはこれで好きです。
掲載の対談には歌舞伎俳優達のことも多く登場。「御宿かわせみ」に関連した内容では主人公のひとりである東吾(芝翫さんが演じたお役)の美男の兄様のイメージは十一代目市川團十郎さんだとお話になっていて今度から「御宿かわせみ」を読む時そのようにイメージして読んでいくことになりそうです。
芝翫さんがドラマ出演にあたってお父様にご相談したときに言ってもらえた言葉を伝えてくれていたり、芝翫さんが当時どう現場の方々とお芝居づくりをしていたかを聞くことが出来て嬉しかったです。勘三郎さんが海外でたまたま放送されていた「御宿かわせみ」を見てこれ俺の弟だよ!と自慢して現地の人たちと打ち解けたエピソードは別の場所でも耳にしたことがありますが改めて読んでも微笑ましいエピソードで好きですね。
言葉遣いについては私もおばあちゃん子だったので芝翫さん(当時橋之助)のジェネレーションショックみたいなのほんの少しわかるかな。
山田五十鈴さんとの対談がとても好きと思いました。花柳章太郎さんからの恋文エピソードや歌右衛門さんと結婚してたかもしれなかったエピソードにはびっくりしました。なら久里子さんの恋敵だったのねなんて勝手にライバル認定したり(←久里子さんは歌右衛門さんのお嫁さんになりたいと小さな頃言っていたとのエピソードのため)
若尾文子さんのこと祖母は好きだったようだからご活躍を知ると嬉しくこのように対談が読めるのもなんとなしに心躍ります。
文士劇というものも興味深く
今も行っている方々が居るのかわかりませんがあるといいのにと思いました
歌舞伎役者さんと作家さん達の交流にもなって面白そうですが・・・
対談全体、二代目の松緑さんのお話が多かった印象です。
そしてなんと言っても平岩弓枝さんの師である長谷川伸さんへの想いやエピソードが眩しく思わず焦がれてしまいました。そして伸さんのこともっと知りたくなるお話たちです。
最初にこの本を紹介したときに書いた平岩弓枝さんが神田明神でおこなった講演文章には私はつよく心揺さぶられて・・・
たくさんの方々に読んでもらいたい講演文章です。
編集あとがきに平岩弓枝さんが東吾とるいの再会の構想もあったらしいこともちらりと書いてくれていて
それを読むことは
ついに叶わなくなってしまいましたが
この先には二人の再会があるのだと信じれば
新世代主人公たちの「御宿かわせみ」読むのもこわくないかもしれないと思いました。(東吾居ないのやはり淋しいし私はハッピー・エンドが好き)
今回平岩弓枝さんの夫である伊東さんのことはあまり書かれていませんが、彼のもとに弓枝さんも行くことが出来たのかのように思えて・・・お別れはとても淋しいですが再びの「祝言」なのかもしれないとも思えてきました。今回、「御宿かわせみ」から東吾とるいの「祝言」のエピソードを入れてくれているのは編集部のそのような想いもあるのかしら、と今思っています。