おはようございます
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初代国立劇場さよなら公演
最後の歌舞伎鑑賞教室

七月歌舞伎鑑賞教室
双蝶々曲輪日記〜引窓〜

本編感想です。

無料配布のパンフレットと
購入した台本
パンフレットは無料配布ながらあらすじ、コラム、俳優インタビュー掲載で、初代国立劇場最後の歌舞伎鑑賞教室であることも記載。

表紙やチラシに特別なヴィジュアルが載っていたりはしませんが、国立劇場第二期歌舞伎俳優研修生であった中村梅花さんの【引窓】の思い出や思い入れを知ることが出来て嬉しかったです。

少しご紹介したいです。

“「昭和六十年の稚魚の会(歌舞伎俳優研修修了生発表会)でお幸を勤めさせていただきました。老け役の面白さを知り、こちらに進みたいと思うきっかけになった大事な役です。舞台稽古をご覧になった師匠(七代目中村芝翫)が、ご機嫌で『恐れ入りました』とおっしゃってくださったのが忘れられません。今回、若旦那(当代芝翫)に声を掛けていただき、本当に嬉しく、初心に戻って一生懸命勤めます。(後略)」”

とのことで

梅花さんにとって『引窓』のお幸がどれ程思い入れのあるお役かがわかりました

稚魚の会のお幸から
今回のさよなら公演の歌舞伎鑑賞教室でのお幸・・・梅花さんの俳優人生を初代国立劇場さんと当代の芝翫さんとで祝いでくれたみたいでなんだか素敵ですね😊✨


🌸

コメディタッチな雰囲気もある連続ホームドラマにおとずれた大事件、というのが第一印象でした。

私自身繰り返しこの場面を目にして人間関係が整理されたということもあるのでしょうが

梅花さん高麗蔵さんがまずつくっている「家庭」のようすがとても自然で親しみやすく

大事件を背負ってやってきた濡髪の錦之助さんもお幸やお早とすでにこの場面の前に物語があることが感じられ絆を見ました😌

そして指名手配された濡髪を捕らえる役目を持って帰ってきた与兵衛=芝翫さんは打ち解けやすそうな雰囲気を持っていて、この場面だけ観てこの登場人物たちを元に完全オリジナルのドラマを創作するとしたらですが、この大事件の前はコミカルさもあるような楽しい人情ストーリーも何話もあったろうなと思えるようなお役ぶり家族ぶりでした。

G2版の舞台『御宿かわせみ』の東吾やドラマ『だましゑ歌麿』の仙波を思い出す親しみやすい雰囲気です。テレビドラマ的というのが芝翫さんへのほめ言葉になるかわかりませんがこの場面をはじめて観る人たちにとってもわかりやすくドラマで培ってきたある意味のライトさをも駆使しつつ丁寧に演じている様子と感じました。

(もしかしたらその日の客層に合わせて演じ方変えてるかもなと思っていてこんなことを思うと通いたくたる役者さんなのです芝翫さん🤔←チョロい客)(鑑賞教室バージョンな気がするのです)

もとの身分をゆるされて意気揚々と帰宅する与兵衛。ホクホクとした様子の彼にあたたかい拍手が起きていたのが印象に残る日でした。『見て見て!』としたウッキウキした表現が芝翫さんらしい可愛げでした。

与兵衛が『濡髪を捕まえること』にやる気満々な様子であること・まだこの段階ではつゆとも知らないのだということが演技からよく伝わってきました。
無邪気なくらいやる気満々な与兵衛と必死すぎて誤魔化し方が上手く行かなかったお早(貴方は濡髪より弱いとか言ってしまうようなところ)。シリアスな状況ながら見物席的にはこの二人のやり取りに微笑ましさも感じてしまうくらいな芝翫さん&高麗蔵さんのほっこりやり取りに見えました。ふふふっと笑いながらも“こんな状況じゃなかったらどんなにかよかったろうね・・・”とこの家族へのせつなさ倍増です😭✨

芝翫さんがずっと“なんにも知らない与兵衛”で一人平和で、懸命にこの事態をどうするかめぐらすお早に『弱いって何だよ』と『む~』となったりとかちょっとかわいくて(そしてこちゃこちゃ台詞でもないアドリブ的反応をいっぱい高麗蔵さんお早にしていた芝翫さんでした。たぶんちょっぴり客席の笑いに反応しての演技と思う)喜劇と悲劇が一緒にある様子がすごく明確。

その後お幸の願いに与兵衛が状況と事態に気づくところのお腹の中の心の動きとそれを現す表情の変化も明確でとってもたっぷりだったように感じました。(『ここ見てて!』感照れ

“この倅に願いとは”の心なのに
母親にお金出してこられて願われるのって
与兵衛はつらいだろうなと思う
自分自身は彼女からすれば“他人”なのだと突きつけられる感じがしますね。私なんかこういうのピリピリすぐ怒ってしまってきたけど与兵衛はグッと呑み込んで偉いなと思ったりします。

前後してしまうけれど与兵衛が手水鉢まで動くところ衣服についた汚れを払うような仕草をずっとしてるなあと思いながら見ていました。ほかの方々の与兵衛こここんなにパタパタとホコリはらうみたいなのやっていたかしら。(良し悪しじゃなくて自分の記憶と戦ってます。でもちょっとあざとさ?があったかな?)

テレビドラマくらいのライトさから
時代がかる仕草や表情の変化を
はっきりさせている感じがしました。
これでもかくらい。
歌舞伎鑑賞教室バージョンと思えるのはこのあたりで私のような万年初心者にもわかりいいよう目に見えてはっきりさせてくれていたのかもしれません。

与兵衛のきまりきまり
流石で迫力も出、美しかったです。
舞台写真がないのがほんと残念。
専門誌がないのもほんとくやしいです。


🌸


高麗蔵さんのお早は柔らかみやおおらかな明るさに色っぽさがほんのりして色町の人間だったことがそれとなく伝わってきます。手ぬぐいかぶった姿が素敵で舞台写真がないのが残念。普段はきっと与兵衛とお幸とさぞ明るく楽しい家庭を生きていただろうと思えました。

濡髪の錦之助さんは
存在に大きさが出、濡髪の格を感じさせてくれていました。濡髪が本来はスーパースターなのが伝わってくる眩しさもありました。お母さんを説得してのける、そのつよさ真っ直ぐさ。かっこよかったです。
大切な今の家族を守っている母親の迷惑になりたかったわけじゃないだろうから濡髪もまたせつないですね。
このあとのストーリーに私は詳しくないけど放駒の存在が濡髪にあってくれてよかったと思います。

梅花さんのお幸は
年齢を重ねた人間のあわれが身体表現にもよく出ているように感じました。この物語の世界をお幸としてよく生きているのが伝わってきて、前述した彼のこのお役への思い入れを思うと一層に、今こうして舞台の上にある梅花さんの姿がいとおしくなるようでした。


松江さん&彦三郎さんは
普段のお二人の仲の良さが出たのか
二人で台詞を一緒に言うようなところ
ぴったりと息があっていて
それがなにかとても私には微笑ましいように見えました。かわいいなこいつらおもたよ。
彦三郎さんの通るお声の空間の支配ぶりがすごかったです。


今月の芝翫さんは親しみやすいかわいい系からの時代の変化かポイントなのでしょうか😌
千穐楽にむけての日々役が滲みてきたらまた味わいが増していきそうな『引窓』と感じています。楽しみです。
芝翫さんにとって役者人生の大切な一歩一歩が詰まったご縁深き初代国立劇場の日々毎日毎時間毎秒応援しています🌸😆🌸


🌸


『引窓』みんながそれぞれを大切に思いやっていてだからこそせつなくて。人間がリアルに思えて。良い物語ですね。観るたび、好きになっていきます。

良質な作品と役者さんを五千円以下で解説付きで楽しめる歌舞伎鑑賞教室。お得です。


歌舞伎役者さんのお声や義太夫三味線の響きやその義太夫三味線にのる役者さんの動きの気持ちよさ迫力などぜひ体感してほしいです😊✨


🌸


今日も素敵で無敵な一日に
なりますように


暑さで草臥れて
家につくともうバタンキュー
眠くて仕方ないのです



では、また★