「美しい花には棘(とげ)がある」といえば、バラがまず思
い浮かびますね。一方で、「美しい花には毒がある」という
言い伝えもあります。こちらの代表的なものといえば、トリ
カブトではないでしょうか。
トリカブトの花は、とても美しいです。しかし猛毒があるこ
とでも、有名ですよね。
根、茎、葉、花、花粉、種子にいたるまで、アコニチンなど
の強い毒が含まれています。
ただしその一方で、薬になるものも含まれているので、漢方
薬としても使用されています。主には、鎮痛作用や強心作用
などをもたらしてくれます。
子根の部分に木灰や石灰をまぶして熱を加えたり、乾燥させ
ます。そうしたものを「附子」「烏頭」などと呼び、江戸時
代から薬として使用されました。
特に華岡青洲が開発した世界初の麻酔薬には、トリカブトも
使用されていて、現代でも麻酔薬の成分の1つとして、使わ
れています。
尚、「附子」は読み方は主に「ぶし」ですが、「ぶす」とい
う読み方もします。そしてこの「附子」を摂取した時はポカ
ンと締まりのない顔になりやすいので、そんな顔をした人は
「ぶす」と呼んでいたそうです。今も使われる不細工な女性
の顔を差す言葉の「ブス」の語源が、トリカブトを加工した
「附子」だということです。