昨日に続いて、空海の呪術について触れたいと思います。彼
は平安時代の初期に、『性霊集(しょうりょうしゅう)』と
いう漢詩文を残しています。
空海の目に見えない世界へのノウハウは、中国で身につけた
占術と呪術にありました。
まず唐で学んだのは、「宿曜経」という書物です。インドの
占星術をまとめて中国語訳したものでした。作者は不空とい
う高僧ですが、その弟子の1人である恵果が空海を気に入り、
可愛がったのです。そして宿曜術を、教え込みました。
また空海は中国で陰陽五行説も学び、それを後には仏教用語
に置き換えて著述しています。
実は空海は渡唐前、山林修行者たちの中で生活したことがあ
るのです。その時に、高僧が呪術で人々を救う場面に何度も
出会ったそうです。そうした経験から、占術や呪術への興味
と意欲を募らせていたのです。なので取り組む姿勢が全然違
うのでした。
空海が唐から持ち帰った経典の中には、山中で宝物を発見す
る法、雷を止める法、空中を飛ぶ法、火災止など呪術の集大
成が書かれたものもあったそうです。呪文を唱えて印を結ぶ
ことによって多くの願いが叶うという具体的なものまでが、
たくさんそこには書かれていたそうです。