江戸時代の武士の様子を物語る「一所懸命」から「一生懸命」への変化 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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「いっしょうけんめい」という言葉が生まれたのはかなり古

い時代の話でして、恐らく武士が誕生した頃でしょう。

 

では漢字で書くと、「一所懸命」なのか「一生懸命」なのか、

どっちが正しいか今の時代でも認識が分かれていたりします。

 

強いて正しい方を言えば、「一生懸命」の方になるでしょう。

しかし「一所懸命」でも、決して間違いではありません。何

故なら、江戸時代初期までは「一所懸命」が正しかったから

です。

 

この言葉、武家社会から誕生したものでした。武士にとって

の命は、土地でした。先祖伝来の領地を生活の便りとして守

り抜くこと、それが武士の何よりの務めであり、生き甲斐だ

ったのです。

 

従って、人が命がけで物事に取り組むことを、まるで武士が

領地(場所)を守るのに例えて、「一所懸命」と表現してい

たのです。

 

実際戦国時代まで、領地は唯一無二のものでして、それを守

るためなら命がけになるものでした。しかし江戸時代になる

と、事情が変わりました。

 

平和になり、領地も幕府から与えられるようになったため、

土地を巡って戦いをするなどということが、なくなりました。

そのため、生命をかけて取り組むという意味そのものに目が

向けられ、「一所懸命」は「一生懸命」に変わったのでした。

これなど、江戸時代の武士の生態をよく表す変化だと思いま

す。