福沢諭吉が『学問ノススメ』の中で言った「天は人の上に人
を造らず」という言葉は、有名です。しかしここだけを取り上
げるのは、あまりにも愚かなのです。何故なら諭吉のこの言
葉は「平等」を訴えるためのものではないからです。
勿論「不平等」を訴えたわけではないですが、この言葉はそ
うした平等・不平等とは違う次元で述べたものです。その証
拠に、「天は人の上に人を造らず」の後に「されど・・」と続け
ています。
その後に言ったのは、「世の中には人間の上下が明らかに
存在する。天から世に送り出された時は同じなのにも関わら
ずだ。これは、天の手から離れてこの世に誕生した後の心が
によって生じた上下である。だからこそ学問をすることが大事
なのである」という内容のことです。
要するに、「人の上に人を造らず」は天からつくられた段階、つ
まり「生まれた時には」という意味です。そしてその後の生き方
によって差は生じるということを、強調しているわけです。だか
ら『学問ノススメ』なのです。
後に続く文言を省いて「天は人の上に人を造らず」だけを取り
上げたのでは、福沢諭吉の趣旨を無視してしまいます。
というわけで、諭吉は学問を例に取り上げましたが、この「学
問」は昨日書きました「後天的なもの」全てを当てはめて良い
でしょう。努力・工夫・経験・行いや心がけなど、後天的なもの
全てが大事と、言っているのだと思います。
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