平安時代の僧・行基は、豪族である高志氏の家に生まれまし
た。そして14歳で、出家します。
当初は薬師寺で、おとなしく学問と修行に励んでおりましたが、
血筋が豪族なだけに、インドア派ではなかったようです。
彼はいつしか村里に出て、当時禁じられていた辻説法を行なう
ようになりました。
当然、禁止の命令が、何度となく出たそうです。しかし行基は、
まるで守ろうとはしません。聞く耳を持たず、堂々と村里に出て
しまいます。
本来なら罰せられるところですが、何故かその逆となったので
す。
「年来、行基法師に随行する修行者の中で法を守る者に限り、
男は年六十一以上、女は年五十五以上の者全員に僧尼にな
ることを許す」
ということになったのでした。
異例の大出世となったのですが、これは辻説法の内容があま
りに卓越していて、信者を増やしたからとしか、考えられません。