江戸時代初期に、江戸に15軒あった見世物小屋全てで行われ、
全てで常に大盛況だったショーがありました。それは美女とヘビ
の戯れショーです。
美しい女性がヘビをつかみ、首や手足に巻きつけたり、頬ずりし
たりして、色々ペッティングをするだけのショーです。とにかく美女
とヘビのミスマッチでの愛撫が、人気だったのです。
しかしお上からは、しばしば中止要請が出ていました。わいせつと
か、女性虐待という理由では、ありません。動物愛護の観点です。
ヘビが、可哀想だからです。
というのも、ヘビを扱いやすくするため、かなり手を加えていました。
捕まえた時、木綿の布で思い切りしごいて、ウロコの縁にある細い
トゲをむしり取ります。さらに、木綿の布を口に突っ込み、一気に引
き抜くという作業をします。これによって、歯が全て落とされるのです。
そうなればヘビは弱り、素人同然の美女でも簡単に扱うことができま
す。ただし、ヘビは確かに気の毒ですね。ということでお上からは常
に厳重注意を受けていましたが、儲かるので守る小屋はありません
でした。
しかし「生類憐みの令」というのが将軍肝煎りで正式に発令されたた
め、動物を利用した出し物が全て中止に追い込まれ、このスネーク
ショーも消滅したのでした。