あの有名なかぐや姫の話、『竹取物語』は、平安時代が舞台
です。美しく成人したかぐや姫を求め、貴族の男たちが言い寄
って来ます。
しかしかぐや姫は、そんな男たちに対し、無理難題を出すので
す。男たちはそれをクリアしようと散々苦労し、中国やインドま
ではるばる足を伸ばして品物を手に入れるのですが、その夜
にかぐや姫は月に旅立ってしまうというのが、結末でした。
これ、現代に当てはめれば「かぐや姫は性格の悪い女」とも捉
えられかねませんが、一方で当時の社会風刺と見られていま
す。
まあ現代に当てはめても「拝金主義・物質主義に対する痛烈な
批判」という受け止め方が出来ますが、この物語自体はまさしく
そこが主題と言えるのです。そしてこの物語から、平安時代の
結婚形態が見えてきます。
平安時代は、庶民が「夫婦同居婚」で、貴族が夫が妻の許に通
う「通い婚」でした。ただその通い婚の実態は、愛よりも贈り物で
全てが動く、というか「贈り物こそが愛」だったのです。
そうした貴族社会を痛烈に皮肉ったのが、『竹取物語』だったとさ
れています。そしてこのかぐや姫にふられる男たちは、拝金主義
の頂点でもある藤原一族をモデルにしているとも言われるのでし
た。