信用は信念から生まれる。よく言われる言葉です。
「信用は暖簾や外観の設備だけで得られるものではない。確
乎たる信念から生ずるものである」
というのが、渋沢栄一の言葉です。
確かに、信用は、信念から生まれます。信念nない人は、人か
ら信用されません。
それだけに、「信念」には魔力があります。
たとえば、人を騙すのが上手な一流の詐欺師は、自分が嘘を
ついていることを一切忘れながら話します。本当のことを言っ
ていると自分に言い聞かせるだけでは収まらず、言っているこ
とに対して信念が生じるまで、自分の心をコントロールするの
だそうです。
従って一流の詐欺師は、実は信念を持って(心に植え付けて)
話し手いて、だからこそ相手は信じてしまうのです。
上手い役者も、同じです。フィクションであり、演じている人間
も自分とは別人格のはずですが、演じている間はその人物に
なり切ります。なり切るということは、演じている人物のセリフ
に共感する、という段階を越えて、そのセリフに信念を持って
話す、演じるということです。
その信念が、見る人の感情を引き寄せ、まるでセリフでなく本
気で言っているように見えるのです。
これは「信念」を危険だと言っているのではなく、それだけ人を
引き付ける効果、そうだと思い込ませる効果があると言ってい
るのです。
詐欺師や役者になれということでは、ありません。嘘を演じる場
合でもそれだけの効果があるのだから、本気で正しいと思った
ことに対して信念を持つのは簡単だし、より効果を発揮するはず
です。