まず初めに、断っておきます。現在は「大阪」と書くのが正確です
が、江戸時代は「大坂」と書かれておりましたことは、以前にもこ
のブログで紹介いたしました通り。そしてこれは江戸時代に端を発
した話なので、「大坂」といたします。
大坂高麗橋に、虎屋という菓子店がありました。この店が、贈答用
に、饅頭を普及させようと考えます。
しかしネックとなるのは、日持ちの問題でした。饅頭は、日持ちがし
ません。そこで、作り立ての饅頭を贈り物として食べてもらうには、
どうすれば良いか。
考え付いたのが、「饅頭五文切手」という物です。この切手を持参す
れば、作り立ての饅頭といつでも交換できるという仕組みです。
これが、大ヒットしました。当然、あげる方ももらう方も、そして店も、
便利です。
この成功をきっかけに、他の小売店もこの「切手」という仕組みを真似
始めます。つまり、「贈答には、商品と交換できる切手をどうぞ」とい
うことです。
豆腐切手、酒切手といったものが、定番化していきました。このやり方
は明治になるとさらに広がり、茶切手、生魚切手、酢切手、乾物切手、
玉子切手、さらには鰻切手などというのも生まれました。
やがてこの「切手」は、「商品券」と呼称を変えました。そして、百貨店
(デパート)というものが発達するにつれ、この「商品券」は特定の商品
のみでなく、今のように広く使えるような物が多くなり、より発展してい
ったのでした。