樋口一葉は、24歳でこの世を去っています。夏目漱石は彼女より5歳下
ですから、その時19歳。従って、二人が愛し合って結婚を誓い合ってい
たというのでは、ありません。
ただ、一葉の祖父と漱石の父が大変親しく、漱石の父が「うちの息子にあな
たの孫娘をくれませんか」と言うと快く了承され、約束が交わされたというの
です。
今と違って、当時の結婚は、本人たちの意向よりも周囲の力によって進め
られてしまうことが、圧倒的に多かったことは、知られる通り。そして、父と
か祖父の力というのが、絶大でした。従ってこれは、ほぼ「婚約」に相当す
ると見て良いでしょう。
昭和27年、樋口一葉の姪が明かしたそうです。
一葉の祖父が亡くなり、一葉自身も病気がちでそれどころではなくなった
ため、いつしか立ち消えになったそうです。もし結婚していたら、すごい作家
になっていたか、それともプレッシャーに負けてグレていたか。