水泳は冬に上達する。その意外な理由 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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水泳は冬の間に上達し、スケートは夏の間に上手になる。


これは、アメリカの哲学者で心理学者でもある、ウィリアムス・ジェームス

の、不朽の名言と言われている言葉です。


私も、何度か聞いています。というか、遠い昔の学校時代、体育会だっ

たので、こんなような言葉はよく聞かされていました。ただし、意味を取り

違えておりました。


冬の間にやる、水を使わないウェイトトレーニングが水泳に、夏のウェイト

トレーニングがスケートに、それぞれ大事。という意味に捉えておりました

が、違うそうです。


夏にみっちり泳ぎまくって水泳の練習をした成果は、冬に育まれる。冬の

休んでいる間にいつの間にか上達している。スケートも、同じように夏の

休んでいる間に上達している。ということなのです。


いたって科学的、論理的な名言なのでした。

確かに、人間の筋肉というのは、休んでいる時に発達します。練習や

トレーニングで鍛えている瞬間というのは、実は筋肉は傷めつけられて

退化しています。しかし人間には、自然治癒力があります。当然、脳に

もあります。練習後、休んでいる間に、この自然治癒力が躍動するの

です。


つまり、痛めつけられた分を取り返そうとしたこの自然治癒力が、普段

より沢山働いて、筋肉は、傷めつけられる前よりも逆に強くなる。というの

が、メカニズムです。トレーニングというのは、この自然治癒力の反作用

を利用した手段、荒療治に過ぎないのです。


ジェームスの言葉は、この筋肉のメカニズムに、通じるものだと思います。


筋肉同様の自然治癒力は、脳にもあるので、スポーツ以外でも、ジェームズ

の名言は当てはまるそうです。一生懸命勉強した後は、長時間休んだ方が

効果が上がります。


平均12歳の子供たちに、幾つかの詩を記憶させるという実験をしたところ、

1日後、2日後の方が記憶の成績が良かった。というデータがあるそうです。

言葉だけでなく、あらゆる「記憶」における実験で同様のデータが見られる

ということです。


夜思い出せなかった、あるいはうまくいかなかったことが、朝になったら思い

出せた。スムーズにいくようになった。なんてことが、誰でもあるはずです。

「ないよ」と言う人は、恐らくあったけど忘れているだけなのだと思われます。


脳というのは、眠っている間も働いています。だから、寝る間に行なってい

た、「思い出したい」あるいは「覚えたい」という脳の作業は、眠ってからも

続くどころか、更に活発化するのです。その上無駄な力が抜けているわけ

ですから、効率も上がっているのです。


よく、「もの覚えが悪くて」という人がいます。まあ、わかりやすいところでは、

芝居のセリフですよね。この、覚えが悪いという人で最も多く見られるのが、

寝ないで覚えようとする人、覚えるまで寝ないぞ。と頑張る人です。これは、

科学的に見ても、完全な自殺行為なのです。


或る程度まで頑張ってうまくいかなかったら、そこであっさりとあきらめて

寝る。これこそ、人間に最も求められる作業なのであります。


とにかく、頑張った後は休む。頑張ることと休むことは、セット。これは、本人

だけの問題じゃなくて、その上に立つ人の問題である場合も多いですがね。