宣教師フロイスが、日本の女性には貞操観念というものが存在しない
と言ったのは、安土桃山時代のことでした。ただし、文化水準は世界一
高いとも続けていました。
その傾向は、収まるどころかエスカレートして、江戸時代は、すさまじ
かったようです。
処女でなければお嫁にいけないといわれたのは、明治から昭和の前半
のみで、むしろこの時代は長い日本の歴史の中で特殊な時代。いわば
日本が日本でなかった時代と考えて良いようです。
ただ、じゃあ江戸時代が男にとってもよかったかというと、何とも微妙です。
セックスの際に女が男の体を噛んだりつねったりするのが愛情表現だと
いうのは、先日も書きました。
この時代、ナンパは、専ら女の特権とされていました。男が街で女に声を
かけるのは、はしたないとされていたそうなのです。また、デートの際も、
取り仕切るのは女の役目。男は、案内されるままについていくのが美徳
とされていたのです。
処女が嫁入りの際に武器になるどころかその逆で、結婚前にできるだけ
男を知って見る目を養えとされていました。
では結婚したら収まっておとなしくなるかというと、そうでもなく、物売りを
連れ込んでやってしまう。出前の寿司屋を押し倒す。なんてことは、日常
茶飯事だったそうです。
一応不義密通罪というのはありました。しかし、おおよそは、金で解決させ
たようです。女は、内職をしていました。財布のひもも、女が握るのが一般
的でした。だから、女は、金を持っていたのです。
従って、夫に罰金を払うくらいどうってことはなく、夫の方も、妻が浮気をし
てくれると小遣いが入るからありがたい。なんて考えるケースも少なくなか
ったというのです。
こうして見ると、男尊女卑ではなく、女尊男卑ですね。要は、男がマゾだっ
た。というのが、真相のようです。また、男のサドは愚かという考え方もあり
ました。
まあ、今でも、出世している男の多くはマゾというし、それはわかります。
何故明治で変わったのでしょうか。恐らく、西洋の多くがキリスト教なので、
それに合わせて戒律を厳しくしたからと思われます。
江戸時代にも男尊女卑的な法律は、ありました。でもこれは、守られない
ことが前提で作られました。そのくらいの決まりを作らないと、女王様が増え
過ぎて収拾がつかなくなると考えたみたいです。
まあ、男尊女卑も、良くないというか、男にとっても何の面白みもない社会だ
と思います。タイムマシンがあっても、明治から昭和の前半だけは、一秒た
りとも行きたくありません。
しかし、女尊男卑も、恐ろしいものがありますね。男女平等のありがたさを
噛みしめたいです。