「核融合」——
その名前を聞くと、少し怖いイメージを持つかもしれません。
でも、これはSFの話でも、危ない科学技術でもありません。
実は今、この日本で、人類の歴史を塗り替えるかもしれない大きな挑戦が静かに、しかし熱く進行しています。
それは、私たちが住む地球上に、人間の手で「小さな太陽」を作り出すというプロジェクトです。
まず、大事な誤解を解いておきましょう。
「核」といっても、従来の原子力発電(核分裂)とは全く別物です。
今の原発(核分裂)は、「連鎖反応」を利用してエネルギーを取り出すため、万が一制御できなくなると暴走してしまうリスクがあります。
しかし、核融合は違います。燃料を少しずつ入れて燃やす仕組みなので、燃料がなくなったり何か異常が起きたりすれば、すぐに反応が止まって自然に火が消えるのです。つまり、原理的に暴走が起きようがない、極めて安全でクリーンなエネルギーなんです。
現在、世界中でこの「安全な地上の太陽」を作る競争が激化しています。
そんな中、資源小国と言われてきた日本が、世界をリードする独自の切り札を持っています。
それが「ヘリカル型」という核融合炉です。
主流の方式(トカマク型)は、高い性能が出るものの、長時間燃やし続けるのが苦手です。しかし、日本の科学者たちが磨き上げてきた「ヘリカル型」は、DNAのように美しくねじれた構造を持ち、24時間365日、安定してエネルギーを生み出し続けることができます。まさに、発電所として理想的な「消えない太陽」なんです。
今、この技術に世界が注目しています。
高市政権も、日本の経済安全保障の最後の切り札として、この分野を国家戦略の柱に据え、官民一体となって強力にバックアップしています。
そして、その先頭を走る日本のスタートアップ「Helical Fusion」社は、2030年代の実用化という、世界の常識を覆すスピードでの開発に挑んでいるのです。
もし、この技術が確立されれば、日本は劇的に変わります。
燃料は海水から無尽蔵に取れるため、もう海外の資源に頼る必要はありません。
日本は「資源を持たない国」から、「エネルギー輸出大国」へと進化します。
想像してみてください。ドバイやカタールといった産油国の暮らしを。
彼らが税金や学費において驚くような恩恵を受けているのは、エネルギーを売って国が潤っているからこそできる芸当です。
日本もそうなれば、もう高い電気代や税金に悩む必要はありません。かつての「黄金の国ジパング」がエネルギーという新たな価値で復活し、世界中の人々が「日本のような豊かな国に住みたい」と憧れる日が来るかもしれないのです。
日本最古の歴史書『古事記』には、太陽の女神・天照大御神の神話が記されています。
かつて太陽神が岩戸に隠れてしまったとき、世界は闇に包まれました。しかし、神々の知恵と祭りで再び太陽が顔を出したとき、世界には光と秩序が戻ったと伝えられています。
今、エネルギー危機や環境問題という「闇」が世界を覆おうとしています。
そんな時代だからこそ、かつて「日出ずる国」と呼ばれたこの国が、科学の力で「新たな太陽(核融合)」を岩戸から引き出し、世界中を明るく照らす——
そんな使命があるように思えてなりません。
暴走のリスクがなく、無尽蔵で、平和なエネルギー。
ヘリカル型核融合炉という「地上の太陽」が、初めて産声を上げるのがこの日本だとしたら。
それは現代における「天岩戸開き」であり、日本が名実ともに「日出ずる国」として、世界の新しい夜明けを告げる瞬間になるでしょう。
さあ、まもなくです。
科学と神話が交差し、日本が再び世界の『太陽』となる、新しい夜明けの時は——。