勇者デイジーの冒険2.5 | やさしい時間

やさしい時間

ときメモGSの妄想小説です。

ネタバレなSSもアリ。
一部限定公開もアリですのでご注意を……。

勇者デイジーの冒険 2.5 旅の途中で


 若王子先生(猫姿)が仲間になってから数日が経ったある日の事だった。その日は、ちょっとルートを失敗したみたいで、そろそろ日が暮れてしまうというのに宿屋どころか民家すらない道をおれ達は歩いていた。
「はぁ…。そろそろ日が暮れますね。夜の旅は危険です。この辺りで野営をした方がいいでしょう」
 おねえちゃんの肩に乗っていた若王子先生がそう言うので、大きな木の根元で野宿をする事にした。火をおこして、簡単なご飯を食べて、携帯用の毛布に包まって。やっぱり夜になると、ちょっと寒い。
「やっぱり夜は寒いねぇ」
 おねえちゃんが体を丸めながら呟く。3人で身を寄せ合って、毛布に包まってると何となく安心するから不思議だ。それに、猫姿の若王子先生はとっても暖かくて。やっぱり猫ってあったかいや。


 焚き木のはぜる音で目が覚めた。いつの間にか眠っていたみたい。いけない、誰か火の番に起きてなきゃいけなかったのに、色々おしゃべりしているうちに眠っちゃってたみたい。
 うっすらと眼を開けると、火の傍に人影が見えた。あれ、遊くんは隣で寝てるし…誰だろう?ぼんやりと見つめていると、その人影が視線を感じたのか少しだけ振り返った。
「や、起きちゃいましたか?」
「あ、あの…」
「大丈夫。今夜は僕が火の番をしているから。君はしっかりと休んでいた方がいい」
 影になっていてその人物の顔はよく見えなかったけど、柔らかそうな茶色の髪がクルクルと跳ねているのが分かる。寝ぼけ眼でぼんやりとしている私の頭を、その大きな手がクシャリと撫でた。
「お休み。明日はまた、頑張ろうね」
 その手が暖かくて、何となく安心して……私はそのまま再び眠りについた。

 朝、眼が覚めると焚き木は燃え尽きていて。隣には遊くんと黒ネコ姿の若王子先生が丸くなってまだ眠っていた。私は欠伸を一つして、ふと昨夜の事を思い出す。あの人影は……夢だった、のかな?
「ん~…。取り合えず、朝ごはんの用意でもしようかな」
 小さくつぶやいて、立ち上がった。今日も新しい一日が始まる。


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mixi日記で細々と書いてるシリーズですが、あまりに間が空いてしまったので幕間的な感じで書いたもの。
が、予想に反して若フラグが立ってしまうほどのご好評を頂きました(笑)

…また、そろそろちゃんと続きを書かないといけないな(;^_^A