美しい静かな田舎暮らしを考えて
別荘地で中古物件を買い、車なしで暮らす、地球にやさしい生活の軌跡。
十里木の梢の中から。
僕が十里木に住み始めて、ようやく2ヵ月になろうとしている。
住み替えの雑事や、住みはじめてからのあれやこれやで落ち着かない日々が続いたけど、
やっと今、落ち着いて、この生活をふり返る時間ができた。
十里木、こう書いて「じゅうりぎ」と読む。
静岡県裾野市にある高原地帯。
僕と妻は、そこにある別荘を、定住の住まいとして、8月に入ったばかりのある日、緑がまぶしい夏の盛りの中で、購入の契約をした。
この地に住むようになることは、5月のゴールデンウィークまで、まったく予想していなかった。
それまで、神奈川に住んでいて、さかのぼること10年前から、ざらついた生活感の賃貸生活から、住み替えの地を探していた。
「田舎暮らし」がライフスタイルの一つとして、ある一定の年齢層になると、注目を集めているけど、それは、都市圏で受け入れられている雑誌によると、もっと前進的で、アーバンな「ロハス/」LOHAS」というキーワードで、よく表現されている。
僕たち夫婦は、それらのキーワードに印象付けられている、優雅さやおしゃれさを求めてというよりは、せわしいだけの生活から逃れるようにして、たまに自然の美しいところへ観光して、自分たちのストレスをだますのなら、そこで残りの人生を、美しく生活しようと、単直に考えただけなのだけど。
ロハスの定義とされるところは、「健康と環境、持続可能な社会生活を心がけるライフスタイル」という意味なのだそうだけど、それは、求めるものではなく、そうあるべきもので、その上に、さまざまな仕事や、日々のイベントが乗ってくるものではないかと思っていて、それを実際の生活にするべく、興味のある土地や、そして、その地にある不動産物件について、調べたり、探したりすることを続けてきた。
そうした住みたい地域、物件探しを続けてきた中で、「十里木(じゅうりぎ)」という地域のことは、まったく知らなかったし、知った時も、裾野市須山に位置する十里木は、いわゆる富士山2合目とも言われる地域で、この富士山噴火が危ぶまれている中、まったく、そのようなところで住まい探しをすることは考えていなかった。
特に関東に住みながら、富士山の影響を、さまざまなメディアを通して、「危険」といった印象を深めていて、わざわざこれから、住むところを選べるのに、日本最大級の危険ということも言える「富士山」のふもとを住む地として決めたのか、今、思えば、自分でも不思議だ。
10年、僕が住みたいと思って、物件を探し続けてきた土地がある。
八ヶ岳。
山梨県北杜市に位置する、日本でも1、2を争う移住に人気のある地域だ。
数年前、旅行でペンションに泊まって以来、僕も、そして妻も、その土地に魅了された。
すがすがしい高原地帯の空気、野鳥の鳴き声、高原地帯特有の別荘っぽい建物の数々。
僕も妻も、そのきらめく陽光とゆらぐ葉擦れに、素直に惹きつけられて、それ以来、北杜市、八ヶ岳というキーワードで、住まい探しをしてきた次第。
それが今年、ゴールデンウィーク中の物件検討が一段落して、その物件探しの余熱の勢いで、妻の希望の物件を内見に向かうことにしたのが、十里木の物件だった。
その時、調べてみて、十里木が富士山にあまりにも近すぎることを認識して、僕はあまり気乗りがしなかったのだが、物件の掲載ページにある記載事項は、見るに値する条件だったので、ゴールデンウィークが過ぎた週末のある日、まったく期待する気持ちも無く、妻と連れ立って、十里木に向かったのだった。
No.1 十里木物件 内見初日1件目・・・暗い