眠ったまま起き上がるしかなかった


開こうとする瞼を必死で戻しながら
最小限の意識下で
用を済ませるため仕方無しに異世界に出向く

如何なる者もこの“聖なる場所”に於いては
的を外さぬことだけに一心不乱であらねば
ならないが
それどころではない私は消えかかろうとする
“もうひとつの現実”の保持に余念が無い


予告なく中断した一幕を再開させるべく
自分が立てる一切のノイズを遮り急いで枕に
頬を当て直すも

生憎思っていた展開とはいかないのが
“もうひとつの現実”なのである



2021.08.20
KANAME



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2021年1月18日 投稿