先日…

三菱一号館美術館にて開催中の
『1984 Visions ルドン、ロートレック展』
                              (会期 2020.10.24-2021.1.17)
に行って参りました。


偶然が重なって ・ ・ ・ (後述)





舞台は19世紀末から20世紀初頭の
フランス・パリ。

ルドンとトゥールーズ=ロートレックの周辺に
焦点を当てた華やかな展覧会
ひっそりと催されていました。


驚くことに出品されているものは、
彼らふたりの作品だけでなく…

ゴーギャンやセザンヌ、

ルノワールやモネ、

ピサロやモリゾの他…

明治期に活躍した日本の洋画家たちまで、
国内外から150点近くの作品が勢揃い。


なかでも
ルドンと同じ師ジェロームのもとで学び、
日本に「洋画」をもたらした
山本芳翠(やまもと ほうすい)の『浦島』を

私はこの目で観たくて・・・・・・



山本芳翠 『浦島』 (1893-95年頃) 
油彩/画布 H124×W170㎝ 岐阜県美術館蔵



世界観と表現力に圧倒されました・・・


芳翠の手に掛かると
“こうなるか”・・・ と。




また、
芳翠が渡仏して間もない頃(明治13年頃)に
完成させたとされる『裸婦』(重要文化財)の、
あの艶かしくも美しい女性の眼差しに私はしばし
時空間を忘れ、
額縁を越えて魅入ってしまいました・・・




私が『浦島』を目にするのは
じつは今回で二度目…  だそうです。

というのも、
今回の展覧会に行った2日前の夜のこと。
母との電話で
たまたま『浦島』が話題にのぼり・・・


どうやら私は10歳の時、母に連れられ訪れた
美術館で一度この絵を観ているというのです。

しかも興味津々に覗き込んでいたとか…
(生憎まったく覚えていない・・・)



これまで本や図録では見ていましたが、
(実際は実物を観ていますが)
そこまで興味はなく、気に留めず。

しかしながら、
母にとってこの『浦島』は 、言わば、

“思い入れのある作品”


良くも悪くも
当時ショックを受けた作品とのこと。
(そこまでとは知りませんでした)

ポストカードを買いそびれたとか…



そんな新鮮な昔話を聞かされ誘発された私は、
何気なく『浦島』を調べると…

ちょうど今、
三菱一号館美術館で展示されていることが判明。
母も私もそれは知らず・・・


ならば!と、その2日後、
私は『浦島』との“再会”を果たすため、
“竜宮城”へと向かったわけです。

そしてその結果、

私自身が
この絵を好きになってしまうという・・・


“きっかけ”ってそういうものですよね。




“竜宮城”から帰ってきたその夜。

離れた故郷で暮らす母に手紙を贈りました。

小さな額縁に入れた
浦島』のポストカードを添えて・・・





私は日常に“絵”のある環境で育ちました。

それらの大半は、

“母が描いた絵”



母が使っていたのは主にアクリル絵の具。

アイヌ神話を描いたものや、人物画や静物画、
風景画まで…
部屋の至るところに保管に困った大小様々な絵が
重なり合っていました。

幼少の頃の私を描いた作品も何点か。


組み立てた木枠にキャンバスを張り留める父の
金槌音が懐かしい・・・



今でも
額縁に囲まれた空間が何故か落ち着くのは
そのためでしょうか。




母も色々とあり… 

もう10年以上
筆は“玉手箱”に仕舞ったまま・・・


最近は
ステンドグラス作品を制作しています。
(趣味として愉しく。その時の気分で)



またいつか

絵を描きたくなったら

を開けてほしいな。





ここまでお読みいただき
有難うございました (^.^)



2021.01.09
KANAME