「お参りに来られた方に、よろこんで帰ってもらわんといけん。」
「そういった話をせにゃぁいけん。」
布教使の父が、後輩の私に、
常々言っていた言葉です。
父の葬儀から日の浅い日曜日、
浄土真宗の宗祖親鸞聖人のお誕生をお祝いする、
宗祖降誕会(しゅうそごうたんえ)
の法要が勤まりました。
今年で849回目のお誕生日、
来年は御誕生850年の記念の年となります。
親鸞聖人のお誕生日は、
1173(承安3)年 5月21日
と伝えられています。
親鸞聖人のお誕生日が父の命日になりました。
父が布教の際、よくよくご讃題(話のテーマに宗祖の言葉を引用)にしていたのが、親鸞聖人が最晩年に詠まれた
『恩徳讃』といわれる讃歌。
如来大悲の恩徳は
身を粉(こ)にしても報ずべし
師主知識の恩徳も
ほねをくだきても謝すべし
「親鸞聖人ご自身が、返しても返し切れない阿弥陀様のお救いのご恩を、そして阿弥陀様のお慈悲を伝えてくださった先人のご恩を心底よろこばれた、“よろこびの歌” が、この恩徳讃です。」
父がどこかのお寺で取り次いだ言葉を、私の後輩がその時に聞いていて、手紙に書いて送ってくれました。
親鸞聖人がよろこばれたみ教えが、様々なご縁によって父に伝わりよろこびとなり、人生を支えました。
そのよろこびを、有縁の方へお伝えしてきた父の姿が、目に浮かびます。
この度のご講師は、
中村啓誠(けいじょう)先生でした。
3年ぶりで、父とのご縁も深いお方です。
葬儀から日も浅い日曜日。
門信徒皆様もお疲れのことだし、お参りが少ないかもしれないなぁ。
そんな心配を他所に、
たくさんのお参りでした。
初めて法座にお参りくださった方も数名おられました。
中村先生のお話はまさに、
“よろこび” のお取り次ぎでした。
法座終了後に帰られる門徒皆様の表情が、よろこびを物語っていたように思います。
本当に素晴らしい宗祖降誕会となりました。
悲しみ、寂しさ、不安のままに、
なんまんだぶつ、、、 (副住職)