橋蔵さんの映画ってそこまで多く見ていないけど、この明るさはたまんないね。あとお声もいいんだよね。

 

なんというか、今でも多くの熱狂的なファンがいるっていうのも納得する。錦之助さんとか、東千代之介さんとか、当時の東映若手時代劇スターとして一世を風靡して、大活躍したということも当然だなって思う。今もってしてもこの威力なんだからね。しかも映画館のおっきなスクリーンで見ているわけでもなく、ちっちゃい12インチのタブレット端末で見ているんですから(笑)。

 

映画は、マキノ監督というだけあって、初っ端の会話シーンからして素晴らしい。進藤英太郎さんの話っぷりもいいけど、相手の男2人のチャチャの入れようといい、この三人での会話っぷりがもうお見事。息を呑むほど集中してしまった。

これがマキノ監督の監督らしさというのかな、会話のリズムといい、テンポの良さといい、もちろんセリフの面白さもあって、全てが完成されていると思う。このシーンを堪能できただけでも、この映画を観た甲斐があった。

 

「橋蔵の」とタイトルにつくだけあって、ま、真正面から金さんを描くという意図は鼻からなかったんだと思う。映画の雰囲気としては、橋蔵ファンむけみたいな感じで作っている感じもなきにしもあらず。

だから、遠山の金さんものとしては異色の作品だと思う。金さんってこんな若くて童顔でいいの?っっていうツッコミは置いといて、演出もちょっと奇抜と言えば奇抜。だってもう、金さんの正体ってバレてるんですけど、それでも、長屋の住人を集めてラストの裁きのシーンはきっちり描く。和気藹々、のほほんとした感じでお裁きも進んでいく。

 

相手役が丘さとみさん。お2人の掛け合いは息ぴったり。ま、さすがにちょっと若者むけかなあという感じはあるけど。お互い気が有るんだけど全然素直になれない、十代同士の恋の鞘当てみたいな関係が延々と続く。幼稚っていうわけじゃないけどねえ(笑)。笑いのシーンもたくさん作ってくれてたけど、若干そのノリにはついて行けなかったかな。

ベロ出したり、「いーっ」っていう言葉とか、最近使わないよな(笑)。

 

ま、それでも何が起こっても、最後まで明るく、安心してしてみられる映画。昔は時代劇に限らず、こういう映画が主流だったんだけどねえ。今や、ここまで娯楽に徹したスターありきの作品ってまず出会えない。