JR横浜線相原駅から東へ町田街道を1km程歩き左へ折れ、住宅街を抜けた丘陵の斜面に立地する。入口から境内地に向かっては石段が延びており、本堂や鐘楼などの諸堂はその左右に配されている。境内には、手入れが行き届いた草木が種々植えられており清々しい。
私が訪れたのは2012年5月。寺に近づくと草刈り機の音が聞こえてきたが、作業をしているのは身なりからご住職様だろうと思いつつ、会釈をして歩を進めた。長い石段を登り詰めた先には観音堂があった。この観音堂、彫刻がすばらしい。近くの解説板によると、町田市指定の文化財で江戸時代の建立とあり、聖観音像を祀る。昔から相原観音と呼ばれ、街道を往来する人々の信仰を集めていたという。なお霊場本尊(武相札所第27番)はこの観音様だが、石段の途中にある本堂にはお釈迦さまを祀っており、宗派は臨済宗である。本堂は庫裏を転用したものと言う。
さて一連のお参りをし終えたが、草刈り機の音は止まらない。是非とも御朱印を頂きたいので、観音堂を裏から眺めたり、梵鐘をまじまじと見たりして時間を潰していると静かになった。作業を終えたばかりで汗をぬぐっているご住職様に悪いと思いつつ御朱印を請うと、機械を使っていたから手が震えてしまうとおっしゃいつつも、快く応じて下さった。玄関の前で待つこと数分、頂いた御朱印は字がぶれていることも無く達筆であった。私の朱印帳が清水寺ばかりだと気付いたご住職様と、各地の清水寺について話をし、次はここへ行ってみたいと思いつつ石段を下った。