JR中央本線石和温泉駅で下車、3km程を歩く。駅前から伸びる通り沿いには温泉宿が点在する。ここまでは新宿駅から特急かいじで90分程。首都圏から比較的近くにあるためか、キャリーバックを引っぱる観光客を多く目にする。
温泉街を抜け国道20号線を渡ると、ぶどう畑が見えてくる。ワイン用だろうか、そんな事を考えながらしばらく歩くと、左手に墓地が見えてきた。どうやらここが目的地の様であるが、お堂らしき建物が見えない。辺りを見回すと裏手に来てしまったようだったので、墓石の間を縫い正面側へと向かうと、広場があり小さな建物が見つかる。墓地に隣接して集会所でもあるのかと回り込んで建物の方に目を向けると、戸が開けられ中年男性が寝転びながらテレビを見ていた。また部屋の中には仏壇が見えたので、この建物が本堂だと確信した。
裏から入ってしまったこと、お墓を突っ切ってしまったことに引け目を感じ、また想定外の展開に目の合ったご住職様らしき方に声を掛けれず、会釈だけして正面の方へ歩いて行ってしまった。そこで振り返り改めて建物を眺めるが、お寺とはまず思えない。再度本堂へ足を向ける勇気が湧かず、何時間もかけわざわざ来た所ではあったが、10分足らずで退散となった。
そのまま図書館へ向かい自治体誌を調べると、開基は中世。宗派は時宗で、本尊は千手観音とある。また本堂及び庫裏兼住九坪余、堂内に貴重な観音安置せり、とのこと。再訪の機会があれば正面から入り、貴重な観音様を拝観したいと思いつつ帰途についた。(2013年9月来訪)