人の子の親になることを真剣に考えたことがあった。

うちに慣れるためのお泊りなどをしている間に、他の家に行くことになったが。

あの子は幸せにやっているだろうか。

慣らしの間、正直な話、息子にやってあげて、あの子にやってあげないことがあった。

ジュースのおかわりを買ってあげる、あげないというくらいのことだが、自分では愛情の差だと、はっきり認識していた。

1人でもう1人育てることを覚悟していたけど、私にはあの子の親になる資格はあるかなと思ったりした。

でも、少し時間が経って冷静に考えてみると、自分がお腹の中で育てて10年以上の時を共にしてきた子と、何回かしか会ったことのない子は同じ訳がない。

思えば、自分の子でさえ、朝7時から夜7時まで生後3ヶ月から週6預けて仕事してた。


側から見たら、ひどい親なのかもしれない。


でも、誰がそれを責める資格があるのだろう。


あの日、あの子の荷物を届けた帰り道、運転しながら涙が出てきた。


一緒にまた公園に行きたかったな。


一緒にまた手巻き寿司もしたかったな。


成長を見たかったな。


気づかないうちに私はあの子の親になっていたんだな。