◆秋田茂『イギリス帝国盛衰史』を読み解く



★要旨



・イギリスにとって、

第一次世界大戦はどのような戦争だったのかというと、

「帝国防衛の戦い」といっていいだろう。



・イギリスにとってこの戦争は、後から迫ってきて、

領土拡張主義政策を取るドイツ帝国やオーストリア=ハンガリー二重帝国に、

帝国を侵食されるのをいかに防ぐのか、

という防衛戦争ということになる。 



・問題は、その「防衛戦争」という性格が、

途中で変化していったことである。



・開戦の翌年、

1915年に自由党・保守党・労働党連立によるアスキス挙国一致内閣が成立すると、

ロイド・ジョージは新設された軍需大臣に就任。

軍需産業への政府介入の強化に努めるようになっていく。 



・翌1916年に陸軍大臣に就任した彼は、

さらに挙国一致内閣の首相に推挙され、戦争を指導するようになっていった。



・その頃からイギリスの方針は少しずつ変わっていき、

それまでの防衛を主とする戦い方から、

むしろドイツの植民地を奪取するという方向に進んでいく。



・もともとは帝国防衛というディフェンスを目的とした戦いが、

ある時点から帝国拡張の絶好の機会であるという

捉え方に変化していったのである。 



・イギリスが中東での勢力拡大を狙った目的は、

オスマン帝国が中東に持っていた石油の権益であった。



・中東の石油資源を押さえるためには、

それまでのような経済力による非公式の支配よりも、

公式帝国か、それに限りなく近い保護国として直接支配下に置いたほうがはるかに有利なのは間違いない。



・そう考えると、この戦争は石油資源をイギリスが確保する絶好のチャンスなのではないか、と、発想が変化していったのだろう。 

ドイツとイギリスの勢力争いの場は、中東だけではない。 



・当時ドイツは自国の商船隊を介して、

ブラジルなどラテンアメリカ諸国と、非常に強力な貿易関係を構築していた。



・ラテンアメリカ諸国は、もともとイギリスが力を持っていた非公式帝国でもあった。

そこにドイツが影響力を伸ばしているというのも、

イギリスにとって脅威であったことは間違いない。 



・こうした脅威に対抗するためには、防御だけでなく、

積極的に権益を獲得していくことが重要だとロイド・ジョージは考えた。



★コメント

やはり、英国の歴史は奥深い。

調べ直したい。