◆田中仙堂『お茶と権力。信長・利休・秀吉』を読み解く




★要旨




・『信長公記』には、織田信長が茶道具を贈られた話、

茶道具を蒐集した話、茶会を開いた話が数多く登場する。

戦乱に明け暮れたイメージのある信長が、

なぜ、茶道具や茶会にこんなにも深く関わっているのか。



・本書が指摘したいことは、戦国時代には、

茶会は戦争の延長としての一面を持たざるをえなかった、

つまり、政治であった、ということである。



・本書では、喫茶の習慣が今日の茶道文化につながる変化を

示し始める南北朝期から検討を始めることで、

茶と能とが伝統文化としての共通の性格を持つ理由を、

室町幕府が京都に置かれた武家政権であったということに求めている。



・茶道具鑑賞と密接に結び付いた喫茶は、

武家の文化として発展した。



・相手の得意なところで認めてもらおうと

むなしい努力をするよりも、

相手が知らないところで勝負しようという発想は、

武家文化のいたるところにみられるように思われる。



・能にくわえ、茶や花は、「伝統文化」として知られている。

これらはいずれも、

室町時代の武家文化に起源をもつものである。



・武士が、公家たちを含めた京童に

馬鹿にされないようにと頑張った結果が

室町以来の「伝統文化」を生んだといえよう。



・室町の武家文化を生み出した構造は、

京都に本拠地を置こうとする信長・秀吉にも引き継がれていく。



・信長は、茶会を、

敵将を確実に降伏させたことや、

自分の権威がどれくらいのものかを周辺に知らしめる

政治的なメッセージを発信するメディアとして利用していく。



・信長は、家臣統制のツールとしても茶会を利用した。

信長から茶道具を手柄として下賜されるとありがたいと感じる環境を、

周到に用意していった。



★コメント

お茶は、うまい。

茶の歴史をかみしめながら、喫茶店にいきたい。