◆宮崎正弘『歩いてみて解けた古事記の謎』を読み解く


★要旨


・日本の国の始まりは神々の誕生である。 
人間は神の分霊であり、『古事記』は上中下の三巻に分かれて神代は上巻に凝集されている。


・ずらりと神々の御名が並び、夥しい地名があり、
しかも大和言葉なので現代人にはかえって覚えにくい懼れがある。
けれども全体にリズミカルである。 


・『古事記』は日本人の魂を謳った長大な詩である。


・日本語の成立には少なくとも二千年の時間が必要だから、
口伝による伝説の継承はそれだけ長く続いた。


・時間的スパンで言えば縄文時代の中期から伝承された物語が、
『古事記』の基幹を形成したとみてよい。


・天孫降臨の前の神代は数千年の時間が流れたと考えられるのは
ホモサピエンスの誕生からの歴史を考察すれば納得できる。


・まことに物語は浪漫に満ち満ちている。


・『古事記』は『日本書紀』とは異なってイデオロギー色は希薄であり
天皇の正統性を美化するような工夫はされていない。
醜聞も艶聞も恋歌も三角関係も惨劇も抑制なく描いているのである。


・とくに英雄色を好むの格言通り、
次々と美女と結ばれる天衣無縫の歴代天皇に、
嫉妬する正妻たちのなまなましい苛立ちぶりも
遠慮なく表現されている。


・『古事記』に描かれた現場に立つと、
なんだか古代の風に吹かれて神秘の霊域に浸っているような錯覚にとらわれる。
筆者が各地でした経験である。


★コメント
やはり、古事記はおもしろい。
時間をかけて、熟読したい。